更新日: 2021.11.15 贈与
毎年110万までなら贈与税がかからないと聞いていたのに、課税された!? 連年贈与とみなされない方法とは?
いったいなぜ本来非課税であるはずの範囲の贈与に贈与税が生じてしまうのでしょうか。非課税の贈与が課税されてしまわないよう対策を紹介します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
贈与が110万円までなら非課税となる理由
贈与税が110万円までなら発生しないという理由は非常にシンプルです。贈与税には基礎控除というものが設定されており、この範囲内であれば贈与税が発生しないという仕組みです。
この仕組みを利用して毎年110万円ずつ贈与していく仕組みを暦年贈与と呼ぶこともあります。
暦年贈与が連年贈与として課税されてしまうのはなぜ?
暦年贈与に対して連年贈与と呼ばれるものもあります。例えば、1100万円を毎年110万円ずつ、10年間かけて行った暦年贈与について、最初から1100万円贈与する意思があったとして連年贈与と見なされ、贈与税がかかる場合があります。
つまり、最初から110万円以上の金額を贈与する意思があると見なされるか否かが、110万円以内の贈与を続けて課税されるかどうかの分かれ道といえます。
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連年贈与として課税されないようにするにはどうするべき?
暦年贈与が連年贈与と見なされ課税されないようにする方法としては、次のような方法があります。
しかし、連年贈与と暦年贈与かの判断は個別具体的な事情によって判断が分かれるため、この方法を採れば絶対に暦年贈与、連年贈与と安心できるものではないことに留意してください。
贈与の都度贈与契約書を作成する
暦年贈与と連年贈与の問題に限った話ではありませんが、贈与を行った金額や日付などの事実を明確にするため、贈与の都度贈与契約書を作成するべきです。
そうすることによって、贈与が非課税の範囲で行われたことを証明することができます。契約書の作成については不備がないよう、専門家に依頼しておくと安心できます。
贈与の時期や金額を統一しない
毎年同じ時期に同じ金額を贈与していると、仮に暦年贈与であったとしても、最初から110万円以上の金額を移す意図があったのではないかと疑われ、連年贈与として課税されてしまう可能性があります。
そのため、2年以上連続して暦年贈与を行うこととなった場合は、金額や時期を前年と変えるというのも1つの方法です。
暦年贈与にこだわる必要がないこともある
ここまで述べたとおり、暦年贈与を繰り返していると連年贈与と見なされてしまうリスクもあります。また、暦年贈与にこだわらずに贈与することで、速やかに財産の移転を終わらせることができます。
その上、贈与税と相続税の税率の差額を考えて贈与すれば、その他の事情にもよりますが、暦年贈与にこだわる必要性がさほど高くないという場合もあります。
また、毎年ではなく数年に一度の贈与にするというのも連年贈与と見なされないためには有効であることもあります。
110万円までの贈与は連年贈与に注意すること
110万円までなら暦年贈与として贈与税がかからないとしても、毎年、複数年にわたって贈与を繰り返していると連年贈与として課税される恐れがあります。
契約書を作成して贈与の金額や時期をずらすなどの対策もありますが、実際に暦年贈与と連年贈与かの判断は個別具体的な条件の下、税務署が判断します。
暦年贈与を行うのであれば、事前に税理士など専門家に相談した上でどのように贈与していくか方向性について決めていくとよいでしょう。
執筆者:柘植輝
行政書士