更新日: 2021.11.21 贈与
見直しがうわさされている「暦年贈与」。今から始めても大きな節税効果はある?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
暦年贈与とは
今見直しがうわさされている暦年贈与とは何なのでしょうか。
暦年贈与とは、年間で贈与を受けた額が110万円以下であれば贈与税が発生しないことに着目して、年間110万円以内の金額で子や孫、配偶者など将来相続人となる方へ財産を贈与して非課税で財産を移転させていき、贈与税と将来発生するであろう相続税を節税する手法になります。
暦年贈与は相続税の節税対策として有効な手法として今日まで利用されてきました。
暦年贈与が見直しされるといううわさの出どころは?
暦年贈与の見直しがうわさされ始めたのは、直近では2020年12月に発表された「令和3年度税制改正大綱」にさかのぼります。
この大綱には、今後の改正の流れとして資産の移転タイミングによる意図的な税負担の回避や暦年贈与の見直しなどについて言及されていました。ここから暦年贈与が見直しされるといううわさがより広まりました。
しかし、暦年贈与が具体的にどのように見直しされるのか、そして、いつ頃それが実施されるのか確定した答えは現状出ていません。
私たちにできることとしては、現状暦年贈与を最大限利用しつつ、暦年贈与が廃止あるいは見直しされたときに慌てないように他の節税手法についても調べておく必要があるでしょう。
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暦年贈与は今始めても大きな節税効果はあるの?
暦年贈与は、2021年11月現在から始めたとしても贈与税が110万円までなら非課税となるため、贈与税や相続税に対する節税効果は一定以上あります。
暦年贈与が来年以降どうなっていくのかは不透明であるため、今後何万円分の贈与に対して節税ができるという保証はありませんが、今始めれば少なくとも110万円分の贈与までなら節税効果を得られることは間違いありません。
仮に暦年贈与に変更が加えられ現在ほど節税効果を得られなくなったとしても、過去の暦年贈与の節税効果が否定されるということは考えづらいです。
暦年贈与は年間110万円までしか非課税とならないこととの関係上、早期に始めれば始めるだけ多くの財産を非課税で贈与することができるものです。暦年贈与を実施しなければ節税効果は0、実施すれば将来発生するであろう110万円分の贈与の相続税が非課税となる。この差は明確に数値として表れます。
暦年贈与の恩恵をできるだけ大きく受けたいと考えるのであれば、できる限り早めに実施しておくべきだといえます。
暦年贈与は今から始めても節税効果を得られる
暦年贈与は今後見直しがなされ、今ほど節税効果を得られなくなっていく可能性があります。現時点では暦年贈与は有効であり、見直しの実施の内容もまだ明確ではありません。
今から始めてすぐに大きな金額で節税効果を上げることはできないかもしれませんが、少なくとも110万円分の贈与については暦年贈与として節税ができますし、暦年贈与は早く始めた方が有利な制度です。
見直しのうわさにあまり強く影響されすぎず、暦年贈与によって贈与税や将来発生する相続税を節税したいと考えるのであれば、今すぐにでも始めていくことをおすすめします。
出典
自民党 令和3年度税制改正大綱
執筆者:柘植輝
行政書士