更新日: 2021.11.22 贈与

離婚時の財産分与の疑問。夫婦で貯めた貯金を分けるとき贈与税はかかる?

執筆者 : 柘植輝

離婚時の財産分与の疑問。夫婦で貯めた貯金を分けるとき贈与税はかかる?
離婚時に行われる財産分与では、状況によっては大きな金額が動くことになります。そこで、離婚時の財産分与にまつわる「夫婦で貯めた貯金を財産分与する際に贈与税は発生するのか」という疑問について、法的に考えていきたいと思います。

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柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

財産分与とは?

まずは財産分与について、どのようなものであるか確認していきましょう。
 
財産分与とは、婚姻中に夫婦で協力して得た財産を分配するために行われるものです。夫婦の合意で財産分与を行わないこともできますが、離婚時に相手から請求された場合、合意がなくとも原則として応じなければなりません。
 
財産分与では、基本的に婚姻中に築き上げた全ての財産が対象となります。例えば、婚姻中に貯まった預貯金やマイホームのほか、車、家具家財などです。逆に財産分与の対象とならないものには、婚姻前から自身で有していたものや婚姻中に自己の名で得た財産があります。
 
例えば、独身時に貯めた預貯金や購入した株、車、また婚姻後に相続によって得た財産などが該当しますが、自己の名とはいえ、婚姻中に働いて得たようなお金はここに当てはまりません。
 

財産分与は基本的に非課税

結論から述べると、財産分与は原則として非課税であり、贈与税は発生しません。
 
通常、贈与税は贈与による財産の移転に対して発生する税金です。しかし、離婚に伴う財産分与は贈与とは異なり、財産関係の清算や離婚後の生活保障、慰謝料的な側面を持つとされるからです。
 
そのため、離婚に伴う財産分与は外形上、あたかも贈与であるかのように見えたとしても、先に述べたような財産分与特有の性質に見合う限り、非課税とされるのです。
 

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財産分与に贈与税がかかることもある

財産分与は基本的に贈与税が発生しないとはいえ、例外的に贈与税が発生する場合もあります。
 
それは、分与された財産が婚姻中の夫婦の生活に比べて多過ぎる場合と、離婚が税金を逃れるためだと判断される場合です。それぞれについて内容を簡単に確認していきます。
 

分与された財産が婚姻中の夫婦の生活に比べて多過ぎる場合

離婚により分与された財産が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額や、個別の事情を考慮しても多過ぎると税務署に判断された場合、該当する部分については贈与があったものとして贈与税が発生します。
 
例えば、夫婦が協力して得たものではなく、婚姻前から有していた財産も含めて財産分与したような場合は、多過ぎると判断された部分が贈与税の課税対象となる可能性があります。
 
また、具体的な財産の額に関してはケース・バイ・ケースではありますが、実務上、財産分与の割合は2分の1ずつが原則とされているため、理由もなく異なる割合となっているような場合は注意が必要です。
 

離婚が税金を逃れるためだと判断される場合

離婚の理由が税金逃れだと判断された場合も、贈与税が発生する可能性があります。
 
例えば、夫婦間で財産の贈与を行いたいが贈与税が高額になるため、財産分与が非課税なことを利用して離婚し、本来は贈与である財産を財産分与したようなケースです。このような場合、財産分与によって分配した財産の全てが贈与税の課税対象となります。
 

離婚時の財産分与は原則として非課税

離婚時に行う財産分与は、婚姻中に得た財産の清算や離婚後の生活保障、慰謝料としての機能を持つことから、原則として贈与税の対象外となります。しかし、過大な財産分与や税金逃れで行われた財産分与は贈与と見なされ、その一部または全部が贈与税の課税対象となることがあります。
 
財産分与は離婚後の人生に影響が及びます。財産分与と贈与税の関係が心配だという場合は、できるだけ弁護士など専門家に相談してから行うようにしてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士