更新日: 2021.12.14 遺言書
介護をしてくれている息子の嫁にも財産を残したい。遺言書の作成ポイントとは?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
遺言書を作る必要性について知っておく
まずは遺言書を作る必要性について知っておきましょう。
相続人となれるのは亡くなった方の配偶者以外では、子や父母、兄弟姉妹など親族から一定の範囲で順位が定められており、通常、息子の嫁は亡くなった方と養子縁組をしていない限りは相続人とはなりません。
しかし、相続人ではない方であっても、遺言書を作成して財産を譲る旨を記載しておけば、相続財産を遺贈(相続人以外に遺産を渡すこと)によって渡すことができます。
亡くなった方の介護をするなど財産の維持増加に努めた親族として、息子の嫁には特別の寄与分が認められる可能性もありますが、状況次第で100%認められるわけではないため、いずれにしても遺言書は作成すべきといえます。
遺言書の方式を考える
遺言書には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類がありますが、方式によって遺言書の作成方法や注意点が異なり、作成方法を誤ると不備があったとして遺言自体が無効となる可能性もあります。
特に気軽に作成しやすい自筆証書遺言は、法律で定められた形式的要件を満たさずに無効となる例が多く見受けられるため、遺言書を作成する際は、その方式に合わせて作成していく必要があります。
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相続人の感情面にも配慮する
いくら亡くなった方の介護をしていたとしても、相続人の中には、本来の相続人以外の人に財産を分け与えることによい感情を抱かない方がいる可能性もあります。
それが遺留分(兄弟姉妹以外の相続人に認められた最低限の相続分)を超えるような大きな割合であれば、なおさらでしょう。
例えば、「全財産を息子の嫁に」といった遺留分を侵害するような内容で遺言書を作成してしまうと、息子の嫁を相続争いに巻き込んでしまう恐れがあります。息子の嫁に遺贈をするに当たっては相続人の感情面についても踏まえた上で、その内容について決定する必要があります。
どのように相続財産を渡すか考える
相続人ではない息子の嫁に財産を渡す場合、その渡し方は2つあります。1つ目は、例えば相続財産のうち、土地Aを遺贈するなど財産を指定する方法です。2つ目は相続財産のうち、一定の割合、例えば30%を遺贈するといった方法です。
1つ目の方法であれば、純粋にその財産のみを受け取れる反面、相続が発生した際、相続財産の中に指定された財産がなければ遺贈が不成立になります。
2つ目の方法の場合、相続時の財産の内容に関係なく一定の割合を遺贈できますが、相続財産の中に負債があれば、指定された割合に沿って相続人と一緒にそれも相続することになります。
どちらも一長一短であるため、状況に応じて決める必要があります。
不安であれば専門家に遺言書の作成を依頼する
遺言書は息子の嫁だけではなく、相続人全員に影響を与える重大なものです。また、せっかく遺言書を作っても法的に無効となったり、記載内容が原因で相続争いになることもあります。
そういった事態を防ぐため、遺言書を作成するのであれば、行政書士をはじめとする専門家に依頼すべきです。
相続人でない方に財産を残すなら、しっかりした遺言書の作成を
介護をしてくれる息子の嫁など、本来は相続人ではない方に財産を残したい場合、遺言書の作成が重要になります。しかし、遺言書は法律的な文書であり、記載内容が少し異なるだけで意図しない結果が生じる可能性もあるため、今回紹介したポイントに特に注意するとともに、必要に応じて行政書士など専門家へ相談した上で抜かりない遺言書を作成するようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士