更新日: 2021.12.24 贈与

孫に内緒で教育資金を貯金。名義預金になる?

執筆者 : 柘植輝

孫に内緒で教育資金を貯金。名義預金になる?
孫を驚かせようと、大学進学などに必要な教育資金を孫名義でこっそり貯金……このように祖父母が孫を思って行った貯金は、名義預金に該当して課税対象となったりしないのでしょうか。ファイナンシャルプランナーとして活動していて、時折寄せられるこの質問について考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

名義預金とは

名義預金とは、口座内の預金を管理している人と、口座の名義人となっている人が別々の預金のことをいいます。
 
具体的な例を出すなら、口座の名義人こそ孫であるが、キャッシュカードや通帳は祖父母が管理しており、孫は口座の存在を知らず、その口座に祖父母が孫のためのお金を貯めていた、というようなケースが名義預金に該当します。
 

孫に内緒で貯めた教育資金は、名義預金になる?

では、「孫に内緒で祖父母が貯めた教育資金は、名義預金になるのか?」という疑問ですが、これは名義預金となります。
 
名義預金の定義として前述したように、孫が知らない本人名義の口座に祖父母がしている貯金で、口座の管理も祖父母が行っているため、口座内のお金は祖父母のお金と見なされるからです。
 
「孫に内緒」という時点で、孫はお金を贈与されていた(お金を受け取っていた)認識がないため、贈与が成立していません。贈与は、当事者間で贈与の意思が合致していることが必要です。
 
この状況では名義預金として、実際に孫へお金や口座を直接渡した(贈与したとき)とき、年間110万円を超えている部分や、その時点で必要とされる教育資金や生活費ではない部分は贈与税の課税対象となってしまいます。
 
また、孫に渡す前に口座を管理している祖父母が亡くなって相続が発生した場合、孫が相続人となっていたり、遺言で孫へ贈与されるなど特段の事情がない限りは、名義預金と見なされた口座のお金は相続財産として相続人に分配されていきます。
 

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孫へ教育資金を贈与する方法

名義預金は、孫に対する教育資金の贈与の方法として適切ではありません。贈与は年間110万円以下であれば非課税で行えるため(俗にいう暦年贈与です)、教育資金として贈与をするのなら孫に伝え、贈与契約書を作成した上で、孫の口座にお金を振り込むようにしてください。
 
さらに、祖父母は孫の扶養義務者であるため、通常必要と認められる学費や生活費であれば、その贈与については贈与税の課税対象とはなりません。必要となったときに都度、孫の口座に振り込むようにする方法でもよいでしょう。
 
そのほかにも、金融機関で専用口座を開設するなどの手続きをすることで、将来必要となる教育資金について最大1500万円までの一括贈与が非課税となる「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」という特例もあるため、こうした方法などでも孫への教育資金の贈与について考えるべきです。
 

孫の教育資金は名義預金で準備しないこと

孫に内緒で孫名義の口座へ貯金するという方法(名義預金)で教育資金を準備していると、本来であれば非課税となるお金が課税対象となることがあります。
 
孫の教育資金の準備や貯金は名義預金で行うのではなく、通常必要な範囲で孫の口座に都度振り込んだり、贈与の特例などを利用するようにしてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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