更新日: 2022.01.14 その他相続

戸籍を調べたら姉は母の連れ子だった…。父の財産どう分ける?

執筆者 : 柘植輝

戸籍を調べたら姉は母の連れ子だった…。父の財産どう分ける?
再婚が珍しくはない昨今、大人になって相続が起きたときに初めて兄弟姉妹の中で血のつながりのない人の存在が発覚するということが時折起こっています。こういったとき、相続財産はどのように分けていくのが正解なのでしょうか。
 
姉と妹の姉妹において、姉が母の連れ子であって父親や自分とは血のつながりがないという状況で、妹が相談者であると仮定し、父親の相続財産の分け方について考えてみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

連れ子は相続人とならない

基本的に連れ子は相続人とはなりません。再婚によって再婚相手(今回の事例では母)とは法律上相続権の生じる関係となるのですが、その際、連れ子(今回の事例では姉)とは相続権の生じる関係が生まれないためです。
 
ただし、母の連れ子であったとしても、再婚後に父と姉とが養子縁組をしていた場合は、他の父の子と同じ相続分で相続人となります。
 

母の連れ子である姉との間で父の財産をどう分ける?

姉が父の連れ子で養子縁組もしていないというような場合、基本的に父の相続財産を分ける必要はありません。相続人ではないため、相続権を持たないからです。
 
ただし、現実的にこれまで家族として生活していたところ、突然連れ子であることを知らされ、その上全く財産を受け取れないとあれば、姉としては納得がいかず相続争いに発展したり、家族間の関係が悪化してしまう恐れもあります。
 
そこで、もし家族として財産を分けるとしたら、一旦は法律上の相続人である、妹と母親が相続したあと、連れ子でなかった場合で仮定した相続割合(母親2、姉1、妹1、)や家族間で決めた割合など任意の割合で相続財産が行き渡るよう、妹や母親から贈与という形で相続した財産ないし金銭を分けるといった方法が現実的です。
 
この場合、相続税が非課税であったとしても、贈与税が発生してしまう可能性があることに注意してください。
 
相続税であれば、3000万円+600万円×法定相続人分まで非課税となり、本事例であれば、4200万円までは相続税が発生しないところ、贈与税は年間で受けた贈与が基礎控除である110万円を超えた部分に贈与税が発生するからです。
 

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父が生前にできることは?

前述のように、連れ子には相続権がありません。父が連れ子である姉を相続人としたい場合、家族と話し合って次のようなことを検討し、実行すべきです。


・父と姉とで養子縁組をする
・遺言で遺贈(遺言書で贈与すること)をする

ただ、養子縁組をすると、養子(姉)と養親(父親)だけでなく、養親の血族(養親の親や祖父母など)とも法律上家族関係が生じるため、親族でよく話し合って決定しなければなりません。
 
そう考えると、その場限りで完結できる遺贈の方が手軽で後々問題が生じにくい方法になります。しかし、遺贈の場合、一親等の血族および配偶者以外の人への遺贈として姉にかかる相続税が通常の2割加算となることにご注意ください。
 
また、相続ではありませんが、父から姉へ生前贈与しておくことでも財産を移転させることができます。しかし、母や妹からの贈与と同様、贈与税が発生する可能性のあることは注意が必要です。
 

連れ子の相続問題については生前から対策しておくこと

連れ子は基本的に相続権を持たず、何もしないままでは相続財産を得ることができません。
 
養子縁組や遺贈などで相続人としたり、相続財産を譲ること自体は可能ですが、どういった方法をとるにせよ、よく考え話し合った上で決断しなければ、相続争いなど別の問題が発生する恐れもあります。
 
家族の中に連れ子がいる場合、早めに相続について考えてみてください。
 
出典
国税庁 No.4157 相続税額の2割加算
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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