更新日: 2022.01.17 相続

実家を相続しようとしたら名義人が「祖父」だった。この場合、どんな手続きが必要?

執筆者 : 柘植輝

実家を相続しようとしたら名義人が「祖父」だった。この場合、どんな手続きが必要?
実家が誰の名義になっているか、きちんと把握できていますか?
 
長年、名義が変更されていない場合、相続の手続きが大変になってしまうかも知れません。
 
今回は、父親が亡くなって実家を相続しようとしたら、名義がすでに他界している祖父のままだったという事例を基に、相続登記による名義変更がされていなかった家の相続に必要な手続きについて解説します。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

実家の名義が昔亡くなった祖父のままだった

Aさんは実家に住む父親が亡くなったため、相続人として実家を引き継ぐべく、相続を原因とする登記をしようと考えました。
 
相続登記をしなければ、売却や資産としての有効活用ができない上、他者に対して自身の家であると法律上の主張をできないことがあるからです。
 
その際、実家の現在の登記名義人を調べたところ、ずいぶん前に亡くなった祖父のままだったことが発覚しました。この場合、Aさんはどのように手続きを進めていけばよいのでしょうか。
※祖父が亡くなった際の相続で相続人となったのは父親のみ、父親の相続で相続人となるのはAさんのみとします。
 

手続きの仕組み自体は単純で相続順に登記していくだけ

今回の事例のように、相続登記による名義変更がされていない土地や建物は、日本全国に存在しているといわれています。
 
相続登記が放置される理由としては、現時点では相続登記自体が義務となっておらず、放置しても具体的な罰則を科されることがないことや、そもそも手続きが面倒、登記しなくても住み続けることができるのでわざわざしなかった、などが挙げられます。
※2024年4月からは相続登記が義務化されます。
 
このように何代も前から登記名義人が変更されていない場合であっても登記手続き自体は可能で、通常の相続登記のように相続の順に登記していけばいいだけです。
 
ただし、実務においては登記には特例があり、最初の相続や中間の相続も、単独の相続であれば1回の登記で最終の相続人を名義人に変更できるという取り扱いがなされています。
 
今回の事例では、祖父が亡くなったときの相続では父が単独で実家を相続し、その後、最終相続人のAさんが相続する流れとなっているため、以下のような登記原因を記載して、1回の登記でAさんへ登記名義人を変更することができます。

○年○月○日 父相続(日付は祖父の死亡日)
○年○月○日 相続(日付は父親の死亡日)

このような単純な事例であれば、祖父名義の家でも不動産を管轄する法務局と相談しつつ、スムーズに登記を進めていくことができます。
 

問題なのは各相続で相続人が複数いる場合

今回の事例とは異なり、各相続で複数人の相続人がいる場合は大変なことになります。
 
例えば、祖父の相続で父親の兄弟も相続人になっており、当時の相続人である父親の兄弟も亡くなって相続がさらに発生しているというケースでは、前述したような登記の省略ができず、順に祖父から父親および他の相続人、そして父親からAさんという流れでの手続きとなります。
 
言葉にするのは簡単ですが、実際には登記の手続き上、遺産分割協議書を添付しなければならないため、相続当時に遺産分割協議書が作成されていない場合などは過去の分までさかのぼって遺産分割を行い、協議書を作成しなければなりません。
 
また、過去の相続における相続人のうち誰か1人でも亡くなっていれば、その子どもなど、相続人の相続人と話し合う必要も生じ、手続きが容易に進まないことも想定されます。
 
こうなってしまうと、知識や経験がない限りは対応が難しいため、司法書士や弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
 

相続登記は放置してはいけない

現状、相続登記を行わなくても罰則が科せられることは基本ありませんが、2024年4月からは相続により不動産を取得した相続人に対し、取得を知った日から3年以内の相続登記が義務化され、申請漏れには罰則(正当な理由がない場合は10万円以下の過料)が設けられます。
 
不動産は権利関係が複雑となり、自分や後の相続人が相続登記を行おうとするときに大きな負担となる可能性もあるため、相続が発生したら速やかに相続登記を行うようにしてください。
 
また、数代にわたって相続登記が放置され、間に相続人が多数存在するような状況となっている場合は、司法書士や弁護士に相談して慎重に手続きを進める必要もあります。
 
出典
法務局 不動産の所有者が亡くなった
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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