更新日: 2022.01.24 その他相続
実の姉だと思っていたら母の連れ子だった。父の死後、姉も相続人の1人に入る?
今回は連れ子にも相続権があるのか、相続人や養子縁組の解説も交えながら検討します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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相続人の種類
民法882条により被相続人の死亡により相続が開始され、887条以下の規定に従い相続人が決まります。890条により被相続人の配偶者は常に相続人となります。そして被相続人の子も相続人となります(887条1項)。相続人の子がいない場合は、直系尊属(被相続人の親)や被相続人の兄弟姉妹が相続人として認められます(889条1項1号、2号)。
これら相続の規定は取引安全の観点から強行規定とされ、当事者同士で変更することは許されません。すなわち被相続人に子がいるにもかかわらず、その子に相続させないということはできません。
連れ子と養子縁組
次に「連れ子」の法的性質について解説します。連れ子とは、婚姻する相手と前の配偶者との間にできた子です。仮にAとBとC(Bの子)がいるとして、AとBが結婚した時にCはAの連れ子となります。BとCに親子関係はありますが、AとBが結婚したとしても当然にAとCは親子関係が生じるわけではありません。AとCが同居してどれだけ仲むつまじく過ごしても、法的には赤の他人です。
連れ子と法的に親子関係を結ぶ方法として養子縁組があります。養子縁組には普通養子縁組(792条)と特別養子縁組(817条の2)の2種類が存在します。普通養子縁組は実親との関係が残る縁組で、届け出を提出することで(799条、739条)効果が生じます。
特別養子縁組は実親との関係を断絶する縁組で、家庭裁判所の審判が必要です。それぞれ養子縁組が成立することで法的に親子関係と認められます。そして親子関係であれば、親の死亡時に子として法定相続人たる資格が得られます。
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連れ子がいた場合の具体的な相続割合
それでは父・母・姉(母の連れ子)・妹がいて、父が死んだ場合相続はどうなるのか、ケースごとに解説していきます。
・姉が父と普通養子縁組、特別養子縁組をしていた場合
姉が父と養子縁組をしていた場合、姉は父の嫡出子としての身分を取得し(809条)、子として法定相続人になれます。したがって母には2分の1、姉と妹にはそれぞれ4分の1の財産承継が認められます(900条)。
・姉が父と普通養子縁組、特別養子縁組をしていなかった場合
姉が父と養子縁組をしていない場合、法的に姉は父の子ではないため法定相続人になれず、財産承継ができません。したがって母・妹それぞれ2分の1の財産承継が認められ、姉が受け継ぐ財産はありません。
ただしこのような場合でも、姉に父の財産を移転する方法はあります。まずは、生前贈与(549条)という父が死亡する前に姉に贈与として資産を譲渡する方法です。
また、遺贈(964 条)という方法もあります。遺贈とは遺言により人(受遺者)に財産を無償で譲ることです。この場合姉は相続人にはなれませんが、受遺者にはなれるので父の財産を遺贈により受け取れます。ただし、遺贈は遺留分侵害額請求の対象(1028条)となるため、母・妹それぞれ4分の1、合わせて2分の1以上父の財産を承継すると問題が生じるため、注意が必要です。
またレアケースとして父の死亡後すぐに母が死亡した場合、母が持つ父の財産の相続権が子である姉に承継されます。その場合には母が相続するはずだった2分の1(妹が母と親子関係の場合はその半分)の財産が承継されます。
出典
民法全般
分からないことがあったら専門家に相談を!
上のように連れ子の相続は、養子縁組の有無によりその内容が変化します。相続は何かとトラブルが生じがちです。日頃から家族で相談をして、養子縁組の届け出や遺言の作成をしておきましょう。そしてこれらの法的な問題は個人でやるには限界があります。弁護士をはじめとする専門家に相談しながら、適切な形で財産承継ができるように準備しておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員