更新日: 2022.01.25 相続税

孫に内緒で教育資金を貯金。名義預金になる?

孫に内緒で教育資金を貯金。名義預金になる?
教育には、希望する進路によっては莫大な費用がかかるケースもあります。それゆえかわいい孫の将来のため、孫の名義で教育資金を貯金しようと考えるのは自然なことです。しかしながら資金を渡す前に自分自身が死亡すると、その貯金は名義預金に当たり相続税の課税対象となる可能性があります。
 
今回は名義預金について詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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名義預金とは

名義預金とは被相続人(死亡した人)の財産であるにもかかわらず、被相続人とは違う名義でなされている預金を指します。例えば親が自分で稼いだ資金を子供の名義で預金するなどです。相続税の税務調査において、調査官が熱心に調べる内容にこの名義預金があります。なぜなら預金の名義を変えるだけで相続財産の対象から外れやすくなり、結果として相続税を逃れることができるからです。
 
名義預金とみなされた場合、相続税の納付期間内なら過少申告加算税、納付期間を過ぎていれば延滞税が課されます。また悪質な財産隠しと認定されれば重加算税が課されます。
 
したがって新たな出費を抑えるためにも名義預金と認定されることは避けなければいけません。令和元年度では1万635件の相続税の実地調査がなされ、実に9072件もが申告漏れを指摘されています。割合にして85.3%です。この申告漏れの中に名義預金関連が大きな割合を占めていると推察されます。
 

教育貯金が名義預金に当たるか否か?その対策は?

それでは具体的な事例を考えていきましょう。祖父が孫の将来を考え、教育資金のために貯金したとします。名義が祖父であれば問題は生じませんが、孫名義であった場合は名義預金となり、その場合には祖父の死亡時に相続財産とみなされます。通常、孫は代襲相続(すでに孫の親が死んでいた場合)を除いて法定相続人になることはありません。
 
祖父の配偶者や子供たちに遺産分割をされ、祖父が貯金した教育資金は孫に行き渡ることはないのです。しかし、祖父としても孫に教育資金を渡したいと思うのは自然なことです。そこで孫に教育資金を確実に渡せる方法を紹介します。
 

・生命保険金

生命保険金の受取人を孫にして、死亡時に教育資金として渡す方法があります。生命保険金は相続財産とはみなされないので、法定相続人でない孫でも確実に資金を得られます。ただし祖父がいつ死亡するかは不確定であり、必要な時に教育資金として使えるかどうか不透明な一面があります。
 

・生前贈与

次に考えられる方法として生前贈与があります。死亡する前にあらかじめ自分名義で預金していたものを現金で孫に渡す方法です。ただし贈与税がかかるので、1年で渡す金額を110万円以下に抑え、複数年かけて渡す必要があります。
 

・名義と実態を一致させる

そもそも名義預金が問題となるのは名義と実態が違うからです。そこで名義と実態がどちらも孫であれば名義預金にはなりません。名義と実態を一致させるには贈与契約が正式に結ばれていることが必要です。贈与は申し込みと相手の受諾があって成立します。
 
孫が未成年の場合は法定代理人(親)が代わりに受諾します。贈与は口頭で成立しますが、万が一税務調査があった時を考え、贈与契約書を作成しましょう。
 
次に管理処分権限が孫にあることが必要です。管理処分権限とは孫がいつでも口座の資金が使える状態にあることを指します。すなわち通帳・キャッシュカード・印鑑などが孫の手元にあることが必要です。こちらもただ資金が振り込まれている状態だと税務署に指摘されますので、適宜引き落とすようにしましょう。
 

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専門家に相談を

上述したように相続税の実地調査で多くの人が申告漏れを指摘されています。税務調査官はその道のプロです。財産を隠したり、ごまかしたりすることは不可能です。被相続人の死亡時に、覚えのない自分名義の預金が見つかった場合は素直に申告しましょう。特に相続は難しい専門用語も多いため、個人で頑張らず専門家に依頼するのを推奨します。
 
出典
国税庁被相続人以外の名義の財産(預貯金)
国税庁令和2事務年度における相続税の調査等の状況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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