更新日: 2022.03.10 その他相続

家族も知らない[別名義]の銀行口座。突然亡くなった場合はどうなる?

家族も知らない[別名義]の銀行口座。突然亡くなった場合はどうなる?
被相続人が亡くなると、直ちに相続が開始します。被相続人の財産は遺産分割の対象になり、相続した遺産には相続税がかかります。
 
もし被相続人の財産の中に「別名義」の銀行口座があった場合どうすればいいのでしょうか。いわゆる「名義預金」の問題について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

名義預金とは

「名義預金」とは、銀行口座の名義と預金額の出資者が異なることを意味します。
 
例えば、被相続人自身の死後に生活費として使用してもらうために、配偶者の名義で預金することや、教育費として使用してもらうために孫の名義で預金することが、名義預金にあたります。
 
そして名義預金は被相続人の死後、税務署が名義預金として判断した場合は、被相続人の相続財産となります。
相続財産になるということは遺産分割の対象になると同時に、相続税の課税対象となります。
 
この名義預金は故意・過失を含めて、税務調査においてかなりの割合で指摘されています。
 
国税庁発表の「令和2事務年度における相続税の調査等の状況」によれば、申告漏れとされる1769件の内約74.2%の1402件が現金・預貯金の問題です。
 
税務調査で申告漏れと認定されると、ペナルティーが科されます。隠ぺいおよび仮装した場合など、悪質なものと認定されれば重加算税が科され、最大で40%の税率を余計に払うことになります。
 
また、遺産分割の対象ともなるため、自由に処分もできません。したがって名義預金と認定されることはできるだけ避けたいところです。
 

名義預金を避けるために

税務調査で名義預金と認定されないためには、銀行口座の名義と実態を一致させる必要があります。これにはいくつかの要件を満たすことが重要です。
 
最初の要件は、名義人が銀行口座の存在を知っていることです。被相続人が銀行口座を作成したら必ず名義人に知らせましょう。
 
次に贈与したという証拠があることです。他人名義で銀行口座を作ってお金をわたすという行為は、法律上、贈与契約にあたります。したがって、銀行口座作成時に両者の間で贈与契約書を作成するか、名義人が贈与税を納めてその書類を残すようにしましょう。
 
加えて、名義人がいつでも銀行口座を使える状態にあることです。具体的には印鑑・通帳・キャッシュカードなどが手元にあり、いつでも引き落としができるということです。
 
最後の要件として、作成された銀行口座が実際に使われていることです。銀行口座の取引履歴が被相続人の入金のみで、出金が一度もなされていない状態だと名義預金と認定される可能性が高くなります。何回かに分けて出金するようにしましょう。
 
以上の要件を満たして銀行口座の名義と実態を一致させることで、名義人の財産と認定され相続税の発生ならびに遺産分割の対象から外れます。
 

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銀行口座以外で財産を譲渡する方法

死後、どうしても配偶者や孫に財産を残したいと考えるのは普通のことです。そのような場合、他人名義で銀行口座を作成する以外にも手段はあります。
 
まずは生前贈与という方法があります。生前に現金などを直接譲渡するだけです。ただし110万円超の贈与は、贈与税がかかるので注意が必要です。
 
また、生命保険に加入して、保険金の受取人を渡したい人の名義にするという方法もあります。最高裁の判例で、保険金は相続財産に該当せず、受取人の財産であるとされています。
 
さらに、遺言を利用して、家族の特定の人に財産を多く分割することも可能です。遺言作成はきちんとした形式が求められるので、弁護士などに相談しましょう。
 
加えて近年では、リバースモーゲージで自宅を担保にして資金を借り、それをあらかじめ家族で分割するといった手法も取られています。ただし、贈与税には注意が必要です。
 

弁護士などに相談を

以上のように、他人の名義で銀行口座を作成するときには注意が必要です。銀行口座の周知や扱い方を徹底しないと、被相続人が突然亡くなった際に申告漏れと認定され、かえって財産を減らしてしまいます。
 
あらかじめ家族で話し合って、築き上げた財産をどう分配するかを決めましょう。そして分からないことが生じたら、弁護士や税理士などの専門家に相談しましょう。
 
出典
国税庁 令和2事務年度における相続税の調査等の状況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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