財産を親族ではなく同性の恋人に譲りたい。現在できることとは?
配信日: 2022.03.15
自分の死後、財産を自分の親族ではなく、同性の恋人に譲りたいと希望する場合もあると考えられます。自分の希望通りの相続をかなえるかなえるにはどのような手だてがあるのでしょうか。
本記事では、自分の財産を同性の恋人に譲るため、現在できることを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com
同性の恋人に財産を譲る旨を記載した遺言書を作成する
被相続人の財産を譲り受ける相続人は、法律で決められています。いわゆる「法定相続人」といわれるものです。
法定相続人にあたるのは、被相続人の配偶者・子ども(代襲相続人含む)・親・祖父母・兄弟姉妹(代襲相続人含む)です。
これをみるとわかるとおり、同性の恋人は法定相続人の範囲に入りません。法律上の相続人とされているのは全て親族です。同性の恋人という立場では親族にはなり得ないため、法定相続人としての権利を享受することはできないのです。
ただし、被相続人の遺言書があれば話は変わります。遺言書はある程度強い効力を持っており、そこに記載すれば、法定相続人以外の指定する人に、自分の財産を相続させることもできるのです。
つまり、自分の財産を同性の恋人に相続させる旨を遺言書に記載しておけば、法律上の権利はなくとも、恋人が相続人になれるということです。
ただし、遺言書に書いたことは何でも100%そのとおりになるわけではないので、注意が必要です。
最も注意したいのは、法定相続人には遺留分を請求する権利があるということです。遺留分とは、法定相続人が法律上の定めで最低限もらえる遺産です。
例えばあなたが遺言書に、遺産の全てを同性の恋人に譲る旨記載したとします。しかし、自分の法定相続人が遺留分を請求した場合、遺産のうち遺留分の金額は、法定相続人が相続します。これはあなたが遺言書で拒否しても、法律上決められていることなので、変えられません。
また、遺言書は自分で作成することもできますが、書式や記載内容に誤りがあると、無効になってしまう可能性もあります。
万全を期すなら、法律のプロである公証人の関与のもと作成される、公正証書遺言書を準備した方が確実でしょう。もし遺言の内容がもう決まっているなら、今の段階で遺言書を作成しておくのも1つです。
同性の恋人と養子縁組を行う
同性同士の婚姻は、現在日本では認められていないため、恋人と家族になることはできないと考えている方もいるかもしれません。
しかし、同性の恋人と家族になる方法が1つだけあります。それは、養子縁組です。養子縁組とは、血縁関係のない人同士が法律上の親子関係を結ぶ制度のことです。
養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組がありますが、同性カップルが家族となる場合に使用できるのは、普通養子縁組の制度です。
普通養子縁組は、主に家系の存続などを目的として利用されている背景があります。例えば家に後継ぎがいないという理由で、親族や、あるいはまったく血縁関係のない第三者などを養子に迎えるというケースは、たびたびみられます。
普通養子縁組は、養親となる人と養子となる人、双方の合意さえあれば成立させられます。要件は養親が成人していること、養子は養親より年長者ではないことなどで、特に厳しい条件もありません。
夫婦という形ではありませんが、同性の恋人と法律上の家族になれることがメリットです。そして、相続の観点でも大きなメリットがあります。
養子は法律上、実子と同じ立場になります。つまり、同性の恋人が養子になった場合、恋人は法定相続人になるのです。法定相続人になれば遺言書などがなくても、法律上、財産を相続する権利が得られます。
養子縁組は、本籍を置いている自治体の戸籍担当部署に届け出を出し手続きします。将来の相続問題を見越して、今のうちに養子縁組を行っておくのもよいでしょう。
【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断
同性の恋人に財産を譲る希望をかなえるため今できる準備をしておこう
愛する恋人に自分の財産を譲りたい、その願いを形にするためには、生きている間にできる準備をしておくことも大切です。
100%自分の希望がかなうとはいい切れませんが、できる限り、自分の意思を反映させることは可能です。ぜひこの記事を参考に、同性の恋人に財産を残す方法を具体的にイメージし、必要に応じて行動してみてください。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4132 相続人の範囲と法定相続分
日本公証人連合会公証 公証事務 遺言
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員