更新日: 2022.03.23 贈与

お年玉はセーフでお小遣いはアウト?子供や孫に渡すと贈与税の対象になるものとは?

執筆者 : 柘植輝

お年玉はセーフでお小遣いはアウト?子供や孫に渡すと贈与税の対象になるものとは?
子どもや孫にお金を渡すとそれが課税対象となり、贈与税が生じることがあります。少し税金に詳しい人であれば、お年玉は非課税だがお小遣いは贈与税の対象になる可能性があると知っている方もいるのではないでしょうか。
 
しかし、必ずしもそのように課税関係が扱われるわけでもありません。お年玉とお小遣いにおける贈与税との関係について確認していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

贈与税とは

贈与税について簡単にいうと、個人からお金や物など、何らかの財産を無償でもらったときに受けとった人(受贈者)にかかる税金です。1円からでも贈与税がかかるわけではなく、1月1日から12月31日の1年間でもらった財産の合計が110万円を超えた部分に贈与税がかかります。
 
このとき、複数人から財産をもらったとしてもその合計が110万円を超えた場合は贈与税が発生します。
 

贈与税の対象となる場合とならない場合

少し複雑な話になるのですが、贈与されたとしても、贈与の目的によって非課税になる贈与と課税対象になる贈与とがあります。どのような贈与が贈与税の対象になるのか、そしてどのような贈与が贈与税の対象とならないのか見ていきます。
 

贈与税の対象となる贈与

基本的に無償で誰かに財産を譲ればそれは贈与となり、贈与税の対象となります。例えば、子どもや孫に定期的、あるいは不定期に渡すお小遣いはもちろん、使ってないからと譲った家や土地なども課税対象になります。進学祝いで買ってあげた車なども贈与税の対象になります。
 
つまり、子どもや孫にお小遣いやお祝いでプレゼントを渡す際は年間で110万円を超えない範囲にとどめておかなければ、贈与税が発生することになるのです。
 

贈与税の対象とならない贈与

子どもや孫にした贈与であっても、次のように一定範囲に属する贈与は贈与税の対象となりません。

●夫婦や親子、兄弟姉妹など扶養義務関係にある者との間で行われる贈与で、通常必要とされる範囲の生活費や教育費
●年末年始の贈答、祝物や見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの

例えば、親や祖父母が一人暮らしをしている子や孫の生活費や学費として渡したお金や、病気の兄弟姉妹の治療費として送ったお金は贈与税の対象にならないということです。
 
お年玉も年末年始の贈答として社会通念上相当と認められる範囲であれば贈与税の対象になりません。親戚や親の友人が200人いて、全員から1万円もらったとしても、通常のお小遣いではなく、年末年始にもらったお年玉であれば贈与税が発生しないのです。
 
しかし、お年玉であれば絶対に贈与税が発生しないというわけではなく、社会通念上相当と認められる金額のお年玉であることが必要です。
 
例えば、5月や8月にお年玉といわれてもらったお金は時期的にもお年玉とは言い難く、お小遣いとして贈与税の対象となる恐れがあります。また、お年玉といっても親や祖父母のうち誰か1人から200万円もらったような場合、それは一般の人がもらえるお年玉の金額からかけ離れているため社会通念上相当と認められず、贈与税の対象となるでしょう。
 
この「社会通念上」という概念について明確な金額の区切りがあるわけではありませんが、通常数万円程度であれば社会通念上相当として認められる可能性が高いはずです。
 

【PR】相続する土地・マンションがあなたの生活を助けるかも?

お年玉もお小遣いも子や孫に渡す際は贈与税に注意を

お小遣いは他の贈与と合わせて年間110万円まで、お年玉は社会通念上相当と認められれば全額が非課税となります。しかし、一般的なお小遣いやお年玉からかけ離れた金額や渡し方をすると、贈与税が発生する可能性があります。
 
つまり、お年玉は絶対に贈与税がかからず、お小遣いなら絶対に贈与税がかかるというものでもありません。
 
お年玉やお小遣いは常識的な額と方法で渡すようにすると共に、高額な贈与をする際に贈与税の扱いが心配であれば、あらかじめ税理士に相談しておくことをおすすめします。
 
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:柘植輝
行政書士

ライターさん募集