更新日: 2022.03.23 相続

養子を増やすと相続税は節約できる?

執筆者 : 浦上登

養子を増やすと相続税は節約できる?
孫に遺産を相続させたい、息子の嫁に世話になったので、遺産を相続させたいと思ったとき、養子にしたらどうなるんだろうと思ったことはありませんか? 少し相続のことを勉強された方ならば、法定相続人の数が増えれば基礎控除も増えるので節税にもつながる。一石二鳥ではないかと考えたかもしれません。
 
この記事では、養子縁組と相続の関係について解説したいと思います。
 
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
 
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
 
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
 
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。

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養子制度と相続の関係

養子制度で定められた普通養子とは、実親子ではない者の間に法的な親子関係を作り出すもので、法的な親子の間で相互に相続権を有し、扶養義務を負うことになります。
 
ですから、はじめに挙げた孫や息子の嫁などを養子にすれば、彼らに遺産を相続させて、かつ、法定相続人の数も増やせて、節税にもつながることになります。
 
ところが、そこには1つ問題があります。民法上では養子の数は制限されていませんが、相続税をつかさどる相続税法上は養子の数に制限が加えられています。ですから、何人でも養子にして節税をするということはできなくなっているのです。
 

相続税法上の養子の数の制限

相続税法上の法定相続人とすることができる養子の数は次のとおりです。

(1) 被相続人に実の子どもがいる場合   1人まで。
(2) 被相続人に実の子どもがいない場合   2人まで。

なぜ制限が加えられているかというと、相続税に関する主な控除が法定相続人の数をベースに決められていて、養子の数を無制限に増やしてしまうと、相続税をいくらでも安く抑えることができるからです。
 
具体例を挙げて説明しましょう。相続税は遺産総額から基礎控除を引いて計算しますが、基礎控除の計算式は次のとおりです。
 
基礎控除額 =3000万円+(600万円 × 法定相続人数)
 
法定相続人が被相続人の死亡によって受け取った生命保険金や死亡退職金には、非課税限度額が設定されています。生命保険金等の非課税限度額の計算式は次のとおりです。
 
生命保険金等の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
 
上記のような次第で、法定相続人の数が増えるに従って控除額が増えるので、法定相続人とすることができる養子の数には制限が加えられているのです。
 

実子と見なされる養子

被相続人の養子にしても、実子と見なされ、上記に挙げた相続税法上の制限を受けない養子がいます。それは次のとおりです。

(1)被相続人の代襲相続人が養子となった者
(2)民法上の特別養子縁組により養子となった者
(3)配偶者の実子で被相続人の養子となった者

それぞれどんな場合か説明してみたいと思います。
 

(1)被相続人の代襲相続人が養子となった者

被相続人の子が死亡すると孫がいる場合はその子が代襲相続人となり、子の持っていた相続上の権利を引き継ぎます。その場合、代襲相続人である孫を養子にしても、相続上は「実子」と見なされ、上記の「法定相続人とすることができる養子の数」には算入されません。
 

(2)民法上の特別養子縁組により養子となった者

この記事で説明してきた「養子」とは普通養子ですが、それ以外に家庭に恵まれない子どもたちのために昭和62年(1987年)に創設された特別養子制度があります。特別養子制度の対象となる子どもは原則6歳以下で、実親との法的関係が断ち切られます。
 
このような特別養子縁組で養子になった子どもは「実子」と見なされ、上記の「法定相続人とすることができる養子の数」には算入されません。
 

(3)配偶者の実子で被相続人の養子となった者

いわゆる再婚相手の「連れ子」を自分自身の養子にした場合です。「連れ子」には相続権がありませんが、養子にすることにより、その子にも相続権が発生します。
 

まとめ

相続税法上では、法定相続人とすることができる養子の数には制限があります。従って、孫が10人いるからといって彼らを全て養子にして、遺産を相続させ、相続税の節税も同時に図ろうとすることはできません。
 
一方、代襲相続人である孫、特別養子縁組による養子、再婚相手の連れ子など制限を受けない養子も存在するということも知っておく必要があります。
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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