更新日: 2022.03.23 その他相続

親が亡くなって、銀行口座が凍結されたらどうすればいい?

親が亡くなって、銀行口座が凍結されたらどうすればいい?
家族が亡くなったとき、その人の預金などを金融機関から引き出せるのか、その口座から公共料金などの引き落としを設定している場合はどうなるのか、などを考えたことはありませんか? 「口座の凍結」という単語を聞いたことがある方も多いと思います。
 
今回は「相続預金の払戻し制度」について、いざというときのために知っておきましょう。

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口座凍結とは?

家族が亡くなったら、故人名義の口座がある金融機関に、亡くなったことを知らせます。預金も相続財産なので、遺された家族などが勝手に引き出してしまっては問題となる場合があります。また、相続を単純承認したとみなされ、故人に負債があった場合、そちらも相続することになる場合もあります。
 
金融機関は、名義人の死亡を知ると口座を凍結し、自動振替やクレジットカードの支払いなどを含め、その口座からお金の移動を停止させます。
 

預金も相続! とはいえ……

最高裁は平成28年12月に、判例を変更して、銀行預金を遺産分割の対象にすることを決定しました。これにより、相続人全員の合意がないかぎり、銀行は預金の引き出しに応じないことになってしまい、遺された家族が葬儀の費用や当面の生活費を引き出せないといった不便なケースが発生し、問題視されていました。そこで平成30年7月に民法等の改正で設けられたのが、「相続預金の払戻し制度」です。
 

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遺産分割前の相続預金の払戻し制度とは?

相続預金の払戻し制度には次の2種類があります。
 

(1)家庭裁判所の判断により払い戻しができる制度

家庭裁判所に遺産分割の審判や調停が申し立てられている場合に、各相続人は、家庭裁判所に申し立てて、その審判を得て、相続預金を仮にもらい受けることとし、単独で金融機関から払い戻しを受けることができます。
 
ただし、生活が困窮しているなど、仮にもらい受ける必要性が認められ、また、他の相続人たちに不利益が生じない場合に限定されます。
 
◆限度額=家庭裁判所が仮取得を認めた金額
 

(2)家庭裁判所の判断を経ずに払い戻しができる制度

各相続人は、相続預金のうち、口座ごと(定期預金の場合は明細ごと)に以下の計算式で求められる額について、直接金融機関から単独で払い戻しを受けることができます。
 
ただし、同一の金融機関からの払い戻しは、150万円が上限です。
 
◆限度額=相続開始時の預金額(口座・明細基準)×1/3×払い戻しを行う相続人の法定相続分
 
多くの方は、「うちは遺産分割協議でもめて申し立てる可能性は少なそうだから(2)を利用するかも」と想像されたのではないでしょうか。では、限度額はどのくらいになるのか、例を挙げて、計算してみましょう。

【例1】

相続人は長男、次男の2人。凍結されている口座の預金残高は600万円
   600万円×1/3×1/2=100万円。
   払い戻しの限度額は100万円。

【例2】

相続人は長男、次男の2人。凍結されている口座の預金残高が1200万円
   1200万円×1/3×1/2=200万円。
しかし、1金融機関からの払戻上限額が150万円なので、この場合は150万円が限度額。

 

払い戻した額の後日精算について

払い戻しを受けた場合、その金額分が遺産分割の際に相続額から差し引かれます。ただし、故人にかかった葬式費用などは、相続財産に含まれません。
 
ちなみに、葬式費用に含まれないものもあります。例えば、香典返しにかかった費用、墓石や墓地の買い入れや借りるためにかかった費用、初七日や法事などにかかった費用です。
 

注意点

凍結された口座から払い戻しを受けるためには、まず金融機関に所定の書類提出が必要となります。通常の引き出しに比べ、内容確認等を経るため時間がかかることは留意しておきましょう。また、遺言書があり、その内容によってはこの制度が利用できない場合もあります。
 

まとめ

家族が亡くなったら口座は凍結されますが、生活に必要な当面のお金は、手続きを経て引き出すことができます。また、公共料金などは、速やかに名義を変更し、口座も変更後の名義口座から引き落とされるように手配しましょう。また、故人の債務や葬式費用などは、遺産総額から差し引かれるので、明細等を分かるように保管しておきましょう。
 
出典
一般社団法人全国銀行協会 ご存じですか? 遺産分割前の相続預金の払戻し制度
国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
国税庁 No.4126 相続財産から控除できる債務
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部