夫の死後に妻が受け取った生命保険金。親兄弟に請求されたら分けないといけないの?
配信日: 2022.04.09
本記事では妻が夫の生命保険金を受け取った場合、夫の親兄弟などに分ける必要があるのかとともに、生命保険金を受け取った場合の注意点なども紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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妻が受け取った夫の生命保険金は夫の親兄弟に分ける必要があるのか
まずは基本的な相続人の範囲を確認しておきましょう。日本では法律において相続人の範囲が定められており、これを法定相続人といいます。法定相続人に当てはまるのは、被相続人の配偶者・子ども・親(もしくは祖父母)・兄弟姉妹です。
配偶者は必ず常に法定相続人であり続け、そのほかの法定相続人は相続順位が決まっています。具体的には子どもが1位、親・祖父母が2位、兄弟姉妹が3位です。
配偶者と子どもが存在する場合、相続するのは配偶者と子どものみとなります。子どもがいなければ配偶者と親が相続します。そして法定相続人には、法律において遺留分が認められています。遺留分とは、必ずもらえる最低限の遺産のことです。
遺留分に関しては、被相続人の遺言がどのような内容であったとしても、請求があれば必ず応じなければなりません。もし子どもがいない夫婦において、夫が自分の遺産の全てを妻に譲ると遺言状に書いたとしても、夫の親が請求すれば、遺留分は親に渡さなければならないということです。
つまり、夫の親兄弟が財産を分けるよう妻に請求したら、そのとおりにしなければならないケースはあり得ます。ここまでを前提として、今回のケースを考えるとき、ポイントになるのは「生命保険金は遺産なのか」という点です。
結論をいうと、生命保険金は民法上、受取人の個別財産として扱われるものであり、相続財産ではありません。したがって、親兄弟から遺産として分けるよう請求された場合でも、応じる必要はないということです。
生命保険金を受け取った場合の注意点
前述したとおり、生命保険金は相続財産ではないため、夫の生命保険金を分けるよう夫の親兄弟に請求されても、拒否して問題ありません。
ただし、生命保険金はみなし相続財産として扱われます。みなし相続財産は、民法においては相続財産として扱われませんが、税法においては相続財産とみなされます。
つまり、生命保険金は相続財産として法定相続人で分ける必要はないものの、相続税の課税対象にはなるということです。相続税の申告は、相続事由が発生した時点から10ヶ月以内に行わなければなりません。
生命保険金を相続税の課税対象に含めずに相続税を申告・納付してしまうと、後日税務署から、過少申告がなされていると指摘を受ける可能性があります。
そして、本来申告すべきだった相続税額との差額の納付を求められるだけでなく、延滞税や過少申告加算税など、ペナルティーとしての追徴課税が行われる場合もあります。
追徴課税は正しく税申告を行えば免れるものです。生命保険金の額が大きい場合は、相続税も高額になりやすく、それに伴って追徴課税の金額も高くなる可能性があります。生命保険金の考え方について十分注意し、税の適切な申告納付を行いましょう。
また、法律上は、生命保険金は受取人以外に相続財産として分ける必要がありませんが、このことをほかの法定相続人が納得せずトラブルに発展するパターンも考えられます。もめ事に発展しそうなら、弁護士に間に入ってもらうなども1つの方法です。
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生命保険金は相続財産には当たらないが相続税の課税対象とはなる
夫の死後、妻が受け取る生命保険金に関しては、ほかの法定相続人に分ける必要がありません。ただし、税法上は相続財産扱いとなり、相続税が課税されることに注意が必要です。
相続税の申告・納付時に誤ると、追徴課税がなされ、本来の相続税額より多くのお金を納付しなければならなくなる可能性もあります。生命保険金に関し正しく理解し、適切な対応をとりましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4132 相続人の範囲と法定相続分
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員