更新日: 2022.04.21 相続

夫の死後は妻でも口座からお金が引き出せない?生活費や葬儀費用はどう工面する?

執筆者 : 柘植輝

夫の死後は妻でも口座からお金が引き出せない?生活費や葬儀費用はどう工面する?
亡くなった方の名義となっている口座からは、たとえ妻であってもすぐにはお金が引き出せないことをご存じですか?
 
その口座に葬儀代や当面の生活費に充てたいお金が入っているという場合、それらの費用はどうやって工面すればいいのでしょうか。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

夫の死後は妻でも簡単には口座からお金は引き出せない

亡くなった方名義の銀行口座は、実際の使用者や管理者が誰かを問わず、原則として銀行への死亡の連絡後から相続の手続きが終了するまで凍結され、引き出しも預け入れもできなくなります。
 
たとえ亡くなった方の妻で、生活費などに充てているお金がその口座にあり、引き出せなければ葬儀代や生活もままならないという場合も例外ではありません。口座の凍結を解除するには金融機関が定める流れに従って、凍結解除の手続きをしていく必要があります。
 
ただし、凍結解除の手続きを行うには、遺言書で遺産分割の分配が指定されている、または相続人全員で遺産分割の内容について合意している必要があり、なかなか手続きが進まず、長期間、口座が凍結されたままということもあり得ます。
 
口座の凍結を解除するための手続きの方法や必要な書類は厳格に定められており、そう簡単にはお金を引き出せないようになっています。
 

遺産分割前の相続預金の払戻し制度を利用

凍結中の口座にあるお金であっても、妻が生活費や葬儀代を引き出せる制度があります。それが「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」です。
 
この制度では、家庭裁判所に遺産分割の審判や調停が申し立てられている場合に、各相続人が家庭裁判所に生活費などの支出のためにお金が必要である旨の申し出を行い、それが認められることで、口座内のお金の全額または一部(家庭裁判所が単独での仮取得を認めた金額)の払戻しを単独で受けられます。
 
また、払い戻しを行う相続人の法定相続分などに基づき、同一の金融機関で150万円までという上限付きになりますが、家庭裁判所の判断を必要とせず、金融機関での手続きにより凍結された口座からお金を引き出すこともできます。
 
なお、制度の利用に当たって必要な書類は家庭裁判所と金融機関では異なり、家庭裁判所を経由した方がいいのかは個別の状況にもよるため、まずは口座がある金融機関に相談することをおすすめします。
 

口座が凍結される前に引き出すことはやめておく

実際のところ、銀行に口座名義人の死亡を伝えず、口座が凍結される前であれば、亡くなった方の口座に入っているお金について手続きをせずに引き出すことができてしまいます。銀行は常に口座名義人の存命について確認しているわけではなく、たいていの場合は遺族からの申し出によって初めて名義人の死亡を知り、その後、口座の凍結を行うからです。
 
しかし、このような方法でお金を引き出すと、たとえ使い道が生活費や葬儀代などであったとしても、相続財産であるお金を勝手に引き出したということが問題となります。
 
後々、親族間で相続争いの原因となってしまったり、相続放棄ができなくなってしまったりという可能性があるなど、思わぬトラブルが生じる恐れがあるため、基本的には口座の凍結解除や相続預金の払戻し制度といった手続きに則ってお金を引き出すようにしてください。
 

生活費や葬儀代は遺産分割前の相続預金の払戻し制度で工面できる

夫が亡くなった場合、名義人となっている口座は凍結されるため、原則、妻であっても凍結解除の手続きを行ってから口座内のお金を引き出すことになります。
 
しかし、相続人の間で遺産分割の話し合いが進まないなど、状況によっては凍結解除の手続きがスムーズに行えないこともあるでしょう。
 
そうした状況であっても、生活費や葬儀代などであれば遺産分割前の相続預金の払戻し制度を利用し、金融機関での手続きや家庭裁判所への申し立てを行うことで、必要なお金を口座から引き出して工面できる場合があります。
 

出典

一般社団法人 全国銀行協会 遺産分割前の相続預金の払戻し制度
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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