更新日: 2022.05.12 贈与

贈与税を節税する方法はある?

贈与税を節税する方法はある?
財産を親族に渡す場合でもかかる贈与税は、財産の額が大きいと、それに伴って税額も増えてしまいます。贈与税を少しでも減らす方法はないのでしょうか?
 
本記事では、贈与税を節税できる方法について簡単に紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

贈与税とは?

贈与税とは、基本的に個人から財産を受け取ったときにかかる税金です。会社などの法人から財産を受け取った場合は贈与税ではなく、所得税となります。
 
贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があり、贈与者が60歳以上の父母または祖父母、受贈者(贈与を受けた人)が20歳以上(令和4年4月1日以後の贈与は18歳以上)の直系卑属の推定相続人または孫であるなど、条件を満たしている場合に相続時精算課税を選べます。
 
1. 暦年課税
原則的な課税方法で、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額から、基礎控除額となる110万円を引いた残額が贈与税の課税対象となります。受け取った財産の合計額が110万円以下の場合は課税されず、申告も不要です。
 
2. 相続時精算課税
受贈者が相続時精算課税を選択した場合、その贈与者(財産を贈与する人)ごとに贈与を受けた財産の価額の合計額から、特別控除額の2500万円を差し引いた残額が贈与税の課税対象となります(税率は一律20%)。
 
課税方法として相続時精算課税を適用した年以降、同じ人からの贈与はすべてこの制度の対象となり、暦年課税に戻すことはできません。
 
以下に相続時精算課税を利用した場合の計算例を示します。

1年目に1000万円を贈与

⇒1000万円-1000万円(特別控除額)=0円(課税対象額)
⇒2500万円-1000万円=1500万円(翌年以降の特別控除額)

2年目に2000万円を贈与

⇒2000万円-1500万円(特別控除)=500万円(課税対象額)

上記のように贈与して相続時精算課税を利用した場合は、2年目の500万円に贈与税が課せられます。
 

どうすれば贈与税を節税できる?

贈与税がかからない(非課税)とされている財産の中で、多くの人に関連しそうなものを以下に抜粋します。

1 法人からの贈与で取得した財産
2 扶養義務者(夫婦や親子、兄弟姉妹など)から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
3 個人から受ける香典や花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上、相当と認められるもの
4 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、一定の要件を満たして贈与税の課税価格に算入されなかったもの
5 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、一定の要件を満たして贈与税の課税価格に算入されなかったもの
6 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、一定の要件を満たして贈与税の課税価格に算入されなかったもの

※国税庁 「No.4405 贈与税がかからない場合」より筆者作成
 
上表の「1」は、前述した所得税の課税対象となる財産です。
 
「2」は主に親が子に支出したケースが多いと思いますが、生活費や教育費として使用した場合は非課税です。ただし、預金して後で利用するという場合は課税対象になってしまうので注意が必要です。また、「3」のお祝い金なども法外な額でなければ非課税となります。
 
そして「4」~「6」に該当するものが、いわゆる節税として利用できる制度のことで、これらについて以下で説明していきます。
 

【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断

節税となる各種制度

贈与税の節税となる制度を簡単に紹介しますが、制度の適用には条件も多いため、詳細については国税庁のホームページを参照し、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
 

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

令和4年1月1日から令和5年12月31日までの期間に、父母や祖父母など直系尊属から住宅取得等資金(居住のための家屋の新築や取得、増改築などに充てる費用)の贈与を受けた場合、一定の要件に該当するときは非課税限度額までは贈与税がかかりません。
 
対象となる受贈者として、贈与を受けた年の1月1日に20歳以上(令和4年4月1日以後は18歳以上)であるほか、その年分の所得税の課税対象となる合計所得金額が2000万円以下(住宅の床面積によっては1000万円以下)などの要件があります。
 
また、非課税限度額は以下表のとおり、住宅用の家屋の種類と契約の締結日に応じて異なります。
 
(1)下記の(2)以外の場合

契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
~平成27年12月31日 1500万円 1000万円
平成28年1月1日~令和2年3月31日 1200万円 700万円
令和2年4月1日~令和3年12月31日 1000万円 500万円

 
(2)住宅の新築などの対価に含まれる消費税が税率10%の場合

契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日 3000万円 2500万円
令和2年4月1日~令和3年12月31日 1500万円 1000万円

※国税庁 「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」より筆者作成
 

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

平成25年4月1日から令和5年3月31日までの期間に、30歳未満の人が直系尊属(父母や祖父母など)から教育資金の贈与を一括で受けた場合、要件を満たしたときは1500万円を限度額として贈与税が非課税となります。
 
非課税の適用を受けるには、金融機関との一定の契約の上、取扱金融機関の営業所などを経由して教育資金非課税申告書を提出することが必要です。ただし、贈与を受けた年の前年の所得税に係る合計所得金額が1000万円を超える場合は、適用の対象外となります。
 
対象となる教育資金は入学金や授業料といった学校に直接支払う費用以外にも、塾や習い事、通学定期代なども認められており、これらは1500万円のうち500万円が限度となっています。
 
なお、贈与者が契約期間中に死亡した場合、残額については原則として相続税の課税対象となるため注意が必要です。
 

直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

平成27年4月1日から令和5年3月31日までの期間に、20歳以上50歳未満の人が直系尊属(父母や祖父母など)から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合、要件に該当したときは1000万円を上限に贈与税が非課税となる特例を適用できます。なお、受贈者の年齢について令和4年4月1日以後の贈与の場合は18歳以上となります。
 
こちらも教育資金の一括贈与と同じく、金融機関との一定の契約に基づき、取扱金融機関の営業所などを経由して非課税申告書を提出する必要があるほか、贈与を受けた年の前年分の所得税に係る合計所得金額が1000万円を超える場合は制度の適用を受けられません。
 
また、非課税の対象となる金額のうち、結婚の資金として利用できる部分については300万円までとなっています。
 

まとめ

以上、贈与税の節税について簡単に紹介しました。
 
贈与税の非課税制度については、それぞれ期間や細かい適用条件が設けられていますが、該当する人は利用しないともったいない制度ですので、検討する場合はお近くの税務署や税理士などに適用できるかどうか相談してみてはいかがでしょうか。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4409 贈与税の計算(相続時精算課税の選択をした場合)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集