更新日: 2022.05.25 葬儀

被保険者が亡くなったら支給されること、ご存じですか? 協会けんぽの埋葬費

執筆者 : 大泉稔

被保険者が亡くなったら支給されること、ご存じですか? 協会けんぽの埋葬費
健康保険に加入している被保険者や被扶養者が亡くなった場合に、埋葬料もしくは埋葬費が支給されます。本稿で詳しく見てみましょう。なお、本稿では全国健康保険協会(=本稿では以下、協会けんぽと称します)。
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

協会けんぽの埋葬費・埋葬料・家族埋葬費

被保険者が業務外の事由、つまり私傷病で亡くなった場合には、亡くなった被保険者によって生計を維持されていた方に、申請をすることにより「埋葬料」として5万円が支給されます。
 
なお「生計を維持されていた方」とは、亡くなった被保険者によって生計の全部または一部を維持されている方であれば、民法上の親族や遺族であるか否かは問われません。また、亡くなった被保険者が世帯主なのか、同一世帯であるかどうかも問われません。
 
また、被保険者には任意継続被保険者も含みます。任意継続被保険者とは、会社を退職した後も、在職中と同じ健康保険に続けて加入する制度です。最長2年間加入できます。
 
では、「埋葬料」を請求することができる方がいない、つまり亡くなった被保険者に生計を維持されていなかった方が埋葬を行う場合はどうなるのでしょうか。
 
そのような場合には、実際に被保険者の埋葬を行った方を対象に埋葬料ではなく「埋葬費」が支給されます。埋葬料が5万円の定額なのに対し「埋葬費」は埋葬料(5万円)を上限に「実際に埋葬に要した費用」、つまり5万円を上限とした実費が支給されます。
 
「実際に埋葬に要した費用」とは、以下のことをいいます。


・火葬料
・霊柩(れいきゅう)車代
・霊前供物代
・霊柩運搬代
・僧侶の謝礼

など

被扶養者が亡くなった場合には、被保険者に対し「家族埋葬料」として5万円が支給されます。
 

資格喪失後の埋葬料(費)

被保険者が健康保険の資格喪失後に亡くなり、以下いずれかに該当する場合は、埋葬料もしくは埋葬費が支給されます。


●被保険者だった方が、資格喪失後3ヶ月以内に亡くなったとき

●被保険者だった方が、資格喪失後も傷病手当金または出産手当金の継続給付を受けている間に亡くなったとき

●被保険者だった方が、傷病手当金や出産手当金の継続給付を受けなくなってから3ヶ月以内に亡くなったとき

なお、資格喪失とは、以下の場合のことです。


●被保険者の退職や死亡
●契約変更等により健康保険・厚生年金保険の資格基準を満たさなくなった場合

被保険者の資格を喪失する日は、原則、その事実があった日の翌日ですので、3月31日が退職日だと、資格喪失日は4月1日になります。

では、協会けんぽの資格喪失後に国民健康保険に加入した場合はどうなるのでしょう。もし、協会けんぽの資格喪失後3ヶ月以内に亡くなった場合、協会けんぽの埋葬料(費)と国民健康保険の葬祭費の両方の支給を受けることができるのでしょうか。
 
協会けんぽと国民健康保険の葬祭費の両方について請求ができる場合には、協会けんぽが優先されます。
 

出典

全国健康保険協会 ホームページ
日本年金機構 従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き
渋谷区 葬祭費
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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