遺言書ってどうやって書けばいいの? 3つの作成方法と注意点を詳しく解説

配信日: 2022.05.31

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遺言書ってどうやって書けばいいの? 3つの作成方法と注意点を詳しく解説
遺産相続において、法律で定められていない相続割合で親族内に優先順位をつけたり、親族外に相続を行ったりする場合には、遺言書が必要です。遺言書は、死後に遺産を相続される側である「被相続人」の生前からの思いを記録するものです。
 
遺言者(被相続人)の意思を確実に伝えるためには、民法にのっとった方式で作成することで、法的な効力を持たせられます。異なる方式で作成された遺言書は、法的な効力を失ってしまうので、方式に従った作成を行いましょう。
 
本記事では、遺言書における作成方式と注意点について紹介します。
東本隼之

執筆者:東本隼之(ひがしもと としゆき)

AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

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遺言書を作成する3つの方法

遺言書の作成方式には、次の3つの方法があります。遺言書を作成する人(遺言者)が手書きができる状態か、遺言書を紛失する可能性がある保管状況かなどを考慮し、選択します。

●自筆証書遺言
●公正証書遺言
●秘密証書遺言

これらの方式は、法律によって手順が定められており、誤った方法で作成された遺言書は、法的な効力を失ってしまい、正当な遺言と見なされません。遺言書を作成する際は、作成方法や必要な手続きを押さえ、正しい手順で遺言書を作成しましょう。
 

・自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が遺言文および日付、氏名を自分で手書きし、押印することによって作成します。資産額などを記載する財産目録は手書きの必要はなく、パソコンで作成した書面や通帳のコピーなどに署名および押印することで、正当な添付書類として認められます。
 
遺言者自身が保管していた自筆証書遺言は、相続発生(死亡)時に遅延なく、家庭裁判所での検認手続きが必要です。検認手続きとは、遺言書の発見者と父母や子などの相続人が家庭裁判所に遺言書を提出し、開封および内容確認を行って遺言書の偽装を防止するための手続きです。
 
また、自筆証書遺言は、遺言書保管制度を利用することで法務局で保管され、検認手続きが不要となります。遺言書保管制度の利用には、遺言書を封がされていない状態で持ち込む必要があるので、注意しましょう。
 

・公正証書遺言

公正証書遺言は、公正役場で子や配偶者などの推定相続人や、遺言で資産を受け取る受遺者など関係者以外の証人2人以上の立ち合いのもと、遺言者が口述した遺言を公証人が筆記し、遺言者と証人、公証人の全員が署名・押印します。
 
公正証書遺言として作成された遺言書の原本は、公証役場に保管され、遺言者には正本と謄本が1部ずつ交付されます。原本が公正役場に保管されているため、改ざんや紛失の心配がありません。また、相続発生時の検認手続きも省略できます。
 

・秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言者が作成した遺言書と封筒に署名・押印し、証人2人以上の立ち会いのもと、公証人が封筒に日付を記載することで完成する遺言書です。秘密証書遺言は、遺言文を遺言者自身で手書きする必要がなく、パソコン作成や代筆が認められています。
 
しかし、公証人が遺言内容を確認することができないので、遺言書に何らかの不備があると、遺言書が無効になるケースもあります。
 
また、秘密証書遺言では、遺言書保管制度を利用することができないため、遺言者自身で保管し、相続発生時には、家庭裁判所での検認手続きが必要です。
 

・「相続人」の種類

遺言書に関わる相続人には、民法で定める法定相続人や推定相続人、親族以外の第3者などが対象として考えられます。法定相続人は、民法で定められた遺産を相続できる子や配偶者などをいい、被相続人(遺言者)が死亡していない時点では、あくまでも推測となるので推定相続人と呼びます。遺言書を活用すれば、法定相続人や親族ではない人も、相続対象となります。
 

親族以外の第3者に相続させる場合の注意点

遺言書を作成することで、親族ではない第3者に財産を相続させることが可能です。しかし、親族外への相続で多額の相続税が発生した場合、民法で定められた法定相続人との紛争に発展するなど、さまざまなトラブルが考えられます。第3者への相続を行う際は、以下の注意点を押さえておきましょう。
 

・相続税額が2割加算される

第3者が相続を行った場合、相続税の納付額は、子や父母などの1親等の血族、または配偶者が納める場合と比べて、2割加算されます。つまり、遺言者のきょうだいであっても、親族でない第3者と同様に加算されます。
 
第3者へ遺産を相続する場合は、より多くの相続税を納める必要があることになるので、被相続人の方は遺言を作成する際に注意しましょう。
 

・遺留分によるトラブルが発生する可能性がある

遺言書では、「全財産を特定の第3者に渡す」という選択も可能です。しかし、相続財産が第3者に渡ってしまうと、配偶者や子などの遺族の生活が成り立たなくなるかもしれません。このような事態を防ぐために、民法では「遺留分」として、子や父母といった1親等の血族または配偶者が、一定割合の相続財産を受け取れるように保証しています。
 
遺留分の請求においては、相続人の間での話し合いで解決することもあれば、裁判所による調停や、場合によっては訴訟まで発展するケースもあります。第3者への相続を検討する際には、遺留分によるトラブルが起きないように、事前に話し合うのが良いでしょう。
 

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遺言書は正しい方式で作成しよう

遺言書は、亡くなった被相続人の想いを伝える最後の手段です。しかし、正しい方式で作成されていなかったり、検認手続きを行わなかったりした場合には、遺言書は効力を失ってしまいます。
 
また、第3者への遺言の内容次第では、相続税加算や親族とのトラブルにつながる可能性があります。自身が伝えた最後の言葉で、争いを引き起こさないためには、遺言書を正しい方式で作成するとともに、事前の話し合いを大切にしましょう。
 

出典

日本公証人連合会
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4157 相続税額の2割加算
 
執筆者:東本隼之
2級FP技能士

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