更新日: 2022.06.30 相続

資産家が孫と養子縁組。そこにはどんなメリットがあるの?

執筆者 : 柘植輝

資産家が孫と養子縁組。そこにはどんなメリットがあるの?
資産家が孫を養子に取ったという話を聞いたことはないでしょうか? 多くの方にとって養子縁組といえば、血縁関係に無い人同士が、法的に親子関係となる際に行われるものというイメージがあり、孫を養子にするという行為が不思議に思えるはずです。
 
今回は、資産家がどういったメリットを求めて孫と養子縁組をするのか解説します。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

資産家が孫と養子縁組をするのは節税目的が中心

資産家の方が孫と養子縁組をするのは、相続税の節税目的というケースが多いです。
 
簡単に説明すると、相続税は被相続人(亡くなった方)が有していた相続対象となる財産から、基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)や被相続人の債務、葬式にかかった費用などを差し引いた部分にかかります。
 
資産家と呼ばれるような方の相続では、相続財産の価格が億単位となることも珍しくはなく、大抵の場合で相続税が発生します。
 
例えば、相続対象の相続財産が10億円ある方に相続人となる子どもが3人いて、ほかに債務などがないという場合は、基礎控除額4800万円(3000万円+600万円×3人)が控除され、相続財産のうち9億5200万円分が相続税の課税対象となります。
 
相続人1人当たりの相続税の課税価格は、法定相続分(法律で定められた分配の割合)で相続した場合、3億1733万円ほどになりますが、相続税の税率は1人当たりの相続財産が3億円を超えていることから50%となり、半分近くが相続税となってしまいます。
 
【図表1】


出典:国税庁 「No.4155 相続税の税率」
 
孫1人と養子縁組をした場合、相続人の数が4人に増えることで基礎控除が5400万円となるため、課税対象の相続財産は9億4600万円となります。
 
さらに、相続人1人当たりの相続額が約2億3650万円と、3億円を下回ることで、相続税の税率は50%から45%に下がります。
 
たとえ5%といえど、10億円近い相続における5%は5000万円程度と、1000万円単位の大きな違いになります。
 

相続回数を1回飛ばせることもメリットに

孫と養子縁組をして相続人にすることには、前述したように、相続税の基礎控除が増えたり、税率が下がったりするだけではなく、相続回数を1回飛ばせるという点でもメリットがあります。
 
通常であれば、孫への財産移転は、まず被相続人から子へ、その後に子から孫へと2回の相続を経て行われ、相続税が発生するタイミングも2回となります。
 
しかし、孫を養子として相続人にしてしまえば、1回の相続で財産を移転させることができます。
 
相続税が発生するタイミングが1回少なくなるということは、多くの相続の場合、孫に財産が移転するまでの相続税の総額も少なく済みます。
 

相続税対策で孫を養子にするのにはリスクもある

ここまでみると、相続税対策で孫と養子縁組をするのはメリットしかないと思われるかもしれませんが、いくつかのリスクもあります。
 
まず1つは、被相続人の子が生存している状態で孫を養子にした場合、孫は相続税額にその20%相当の金額が加算される、「相続税額の2割加算」の対象となることです。
 
もう1つのリスクとしては、相続が複雑になるということも挙げられます。
 
例えば、孫が相続人となることで相続人1人当たりの相続分が減ってしまい、ほかの相続人の不満が高まって相続争いの原因となり、後の親族関係に影響を及ぼす恐れもあります。
 
また、養子を相続人として相続税を計算したとき、相続税の負担を不当に減少させることになると税務署に判断される場合は、相続税の控除の計算において、養子が除かれるケースもあります。
 

資産家は孫を養子にすることで相続税を節税できることがある

資産家の方のように大きな金額の相続税が発生するような場合では、孫を養子にして相続人とすることで、節税のメリットが得られることがあります。
 
しかし反面、相続の状況次第ではそれが否認されたり、相続争いが起きるリスクもあるということを知っておいてください。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4155 相続税の税率

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4152 相続税の計算

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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