更新日: 2022.07.04 相続税
相続財産が不動産だけで相続税の支払いができない…。どんな対策や対処法がある?
そこで、相続財産が不動産など現金以外の物ばかりで相続税が払えないという場合どうするべきなのか、対策や対処法について紹介します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
相続税が発生する場合はどんなとき?
相続税は基礎控除(3000万円+600万円×法定相続分)を超えた部分にかかります。また、税率も法定相続分(法律によって定められた相続分)に応じる取得金額が1000万円以下でも10%、最大で55%と相続税は発生すると大きな金額になることも珍しくはありません。
特に不動産のように高額となる可能性のある財産が含まれている場合、数百万円の相続税が発生することもあります。
図表1
出典:国税庁 No.4155 相続税の税率
相続税は現金納付が基本
相続税は現金で一括納付することが基本になります。そして相続税の申告と納付は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内にしなければならないとされています。つまり、相続が起こってから10ヶ月以内に現金で一括して相続税を納める必要があるということです。
相続税の金額が高額だった、遺産分割に時間がかかったというような場合を考えると、10ヶ月という期間は決して時間的に余裕があるとはいえません。相続が発生したら、相続税の発生の有無と支払い手続きについてすぐに考える必要があります。
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相続税が支払えないときの対応
相続税には「延納」と「物納」という制度があります。延納とは、相続税の額が10万円を超えるとき、一定の担保を供して5~20年間の年賦で納付する制度です。一方、物納とは、延納によっても納付が困難である場合、困難である金額を限度として相続財産そのものの納付にて相続税の支払いに変える方法です。
しかし、延納は利子が発生することに加え、税務署が適当と認める担保を供したうえで行うという原則があり、一方の物納には物納で用いる財産について市場価格より安い価格で評価されてしまうことがあるというデメリットがあります。また、延納も物納も所定の申請書を作成したうえで亡くなった方の住所地を管轄する税務署へ申請することが必要となります。
そこで、物納や延納以外では金融機関からお金を借り入れて相続税を支払うという方法や相続した不動産を売却して相続税を払う方法もありますので、以下で説明します。
相続税が支払えないときの対応としてのおすすめは?
相続した不動産を守りたいという場合は金融機関から納税資金を借りる方法もあります。延納も方法としてはあるものの、申請手続きが複雑であることや、利子が高いことから、可能であれば金融機関からの借り入れを選択したほうが手間も少なく総返済額が少ないという面でも有利なことが多いです。
反対に、速やかに売却ができ、不動産を守りたいという状況でなければ、不動産を売却する方法がおすすめです。これであれば、面倒な手続きを最小限にしつつ、かつ、最も多くお金を手元に残すことができます。
物納は申請の手間や市場価格より安くなり損をする可能性が高いことから、お金も借りられず売却もしたくないなど、よほど限定的の少ない状況でもないかぎりおすすめはしません。
相続税が支払えないという状況を防ぐための対策は?
相続財産が不動産だけで相続税の支払いができないという状況を防ぐには、あらかじめ相続が始まる前に、相続財産となる不動産を現金に換えておくという手が有効です。そうすれば相続するのは現金であるため、相続税が支払えないという状況はなくなります。
不動産を手放したくないなどの状況であれば、金融機関からすぐに借り入れができるよう準備をしていくなどの方法も対策として有効な対策となります。
相続税が支払えないときは冷静に状況の整理を
相続財産が不動産だけで相続税の支払いができないという場合でも延納や物納、金融機関などからお金を借りる、不動産を売却して現金化するなどの方法で解決することができます。
しかし、相続税には納付期限があるため、どういった方法で相続税を納税するかは速やかに考えて実行する必要があります。相続税が払えないと悩んだときは、税理士や税務署に相談してみてください。
出典
国税庁 No.4152 相続税の計算
国税庁 No.4155 相続税の税率
国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
国税庁 No.4211 相続税の延納
国税庁 No.4214 相続税の物納
執筆者:柘植輝
行政書士