【相続が「争続」に!?】穏便に相続をしたい人必見!遺産分割のコツを解説
配信日: 2022.07.21
しかし、なかには遺産分割について合意できず、相続人が争う「争続」に発展することがあります。
遺産分割協議で合意できない場合、家庭裁判所に訴えて、裁判で遺産分割方法を裁定してもらうことになります。裁判には時間とお金がかかりますので、可能であれば、相続人同士の話し合いで円満に解決したいものです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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もめる遺産分割「争続」とは?
「争続」とは、遺産相続を巡って相続人などの親族が争うことです。俗に言う「相続争い」のことです。
ドラマなどの影響で、争続は富裕層の家庭で起こるものと考えている人も多いようです。
しかし、最高裁判所の司法統計によりますと、相続人による遺産分割協議がまとまらず、家庭裁判所での裁判にまで発展したケースは、相続財産5,000万円以下が大半を占めています。1,000万円以下のケースも多く、一般の家庭であっても争続に発展することは珍しくありません。
同統計調査によりますと、現金や動産のほかに分割が難しい不動産が相続財産に含まれている時に裁判に発展していることが多く、分割の仕方による争いが起きやすいと推測されます。
被相続人が遺言によって分割方法を指定していれば、簡単に解決できそうですが、法務省の調査では図表の通り、55歳以上で遺言を作成している人の割合は「自筆証書遺言」が3.7%、「公正証書遺言」は3.1%にとどまっています。
図表
出典:平成29年度法務省調査「我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の 作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務 報告書」より引用
遺言を作成しない理由として、「遺言を残すほどの財産がない」と考えている人が多いようです。しかし、実際には財産が多くなくても争続に発展しており、被相続人が想定しない形で相続人同士が争っているのが現状です。
遺産分割のコツ
相続財産が少なくても争続に発展する可能性は十分にあります。裁判沙汰にせず、相続人同士の話し合いで円満に相続方法を決定するにはどうすればよいでしょうか。
もめ事を最小限に抑える遺産分割のコツを解説します。
法定相続分で分割する
法定相続分とは、相続財産の民法に定められた相続割合であり、通常法定相続分に応じて遺産を分けることが基本です。遺言があれば、法定相続分に優先しますが、遺言がない場合でも遺産分割の方法について指定はありません。
したがって、法定相続分による分割は基本ではありますが、それだけで相続問題が解決するわけではありません。もちろん遺産分割協議の結果、法定相続分とは異なる割合で分割することもできますが、その場合、法定相続分より少ない割合で相続する相続人がいるため、争続の原因となる可能性があります。
不動産の共有は避ける
遺産分割協議の結果、不動産を2人以上の相続人が共有することが可能です。兄弟間で不動産を「共同相続」することは避けたほうがいいでしょう。共有相続について、兄弟間で意見が一致していても、その後の不動産の処理について意見の不一致が生じることは十分にあります。
共同相続しますと、不動産の売却・賃貸、売却価格の引き下げといった処理について意見が一致しないと先に進みません。不動産は所有しているだけでは意味がなく、建物を建築したり、賃貸に出すことで収益が上がります。
共同相続しますと、不動産が収益を上げる仕組みを阻害し、将来的に相続人間でトラブルの元になります。
特別受益を素直に認める
「特別受益」とは、一部の相続人が被相続人から特別に得ていた利益を指します。
起業した時の開業資金の援助、借金の肩代わり、結婚時の持参金などが該当します。ある相続人が特別受益を受け取っている一方で、この事実を無視して遺産分割を行うと他の相続人にとって不公平です。
したがって、特別受益は、相続財産を持ち戻して、相続分を計算します。持ち戻しによって、受益者の相続分は減少しますので、特別受益があった事実を隠して、遺産分割協議に臨む相続人もいます。
この時に他の相続人から特別受益の事実を指摘されますと、相続財産の分け方についてトラブルに発展することがあります。
弁護士に介入を依頼する
遺産分割協議で合意に達しない時に家庭裁判所で調停手続を行います。
しかし、調停手続に達する前に弁護士に介入を依頼してみましょう。
遺産分割協議では、当事者が自身の利害のために勝手な主張をするために、話がまとまらないこともあるでしょう。客観的な目線を持った弁護士の介入があれば、専門的かつ客観的な見地から適切な配分方法について助言をくれるでしょう。
配偶者や子どもの状況に配慮する
配偶者や子ども以外に相続人がいる場合、他の相続人は配偶者や子どもの状況に配慮する必要があるでしょう。被相続人が比較的若い頃に亡くなった場合、残された配偶者や子どもの生活が成立するだけの現金がなければ、路頭に迷うことになります。
多少法定相続分を超えたとしても、配偶者や子どもに多く相続させたり、現金の配分を多めに設定したりするといった配慮が必要です。
事業継続に配慮する
被相続人が事業を行っていた場合、事業継続に配慮することが必要です。
被相続人が経営者ですと、相続財産の大半を自社株が占めることは珍しくありません。自社株式を後継者となる相続人が相続しませんと、将来的な会社の経営に支障をきたします。他の相続人が相続分を譲歩するといった思いやりが必要になるでしょう。
出典
裁判所 司法統計 第52表 遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(「分割をしない」を除く)
法務省我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の 作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務 報告書
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