更新日: 2022.07.27 贈与

家族間でも贈与になるって本当? 贈与する際に押さえたいポイント

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

家族間でも贈与になるって本当? 贈与する際に押さえたいポイント
家族間で援助のために金銭を渡したいと思う人や、少しでも相続財産を生前に減らしておくために財産を渡したいと考える人も多いのではないでしょうか?
 
家族間であれば金銭や財産のやり取りをするのも問題がないように感じますが、実際には贈与をすることによって、家族間でトラブルになってしまったり、贈与税がかかってしまったりする場合もあります。
 
そこで今回は、贈与する際に押さえたいポイントを解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

そもそも贈与とは?

贈与は、当事者が誰かに対して無償で財産を「与える意思表示」をし、受け取る側も「受け取る意思表示」をしたときに成立します。ここで重要なポイントは、与える側も受け取る側もそれぞれ、「あなたにあげます」「受け取ります」という意思表示があれば、特に文書はいらないということです。
 

契約書がないとトラブルになることも

しかし実際には、贈与したことを示す契約書がないことで、「渡した」「受け取ってない」といった家族間でのトラブルにつながることもあります。贈与は意思表示だけで成立可能なものですが、「渡した」「受け取ってない」と水掛け論になってしまっては贈与をする意味がありませんね。
 

贈与税は税率が高い

贈与税は、個人からの贈与が対象になります。そして、一般的に税率が高い傾向にあります。贈与税は、贈与をした側ではなく、受け取った側が支払う税金です。贈与する金額にもよりますが、所得税や相続税に比べても高い税率を課される可能性があるので、注意が必要です。
 
図表

基礎控除後の課税価格 200万円
以下
300万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
3,000万円
税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」を基に筆者が作成
 

贈与の仕方の種類

贈与には暦年贈与と相続時精算課税の2つの方法があります。それぞれ控除額が異なっていますので、順に見ていきましょう。
 

暦年贈与

贈与税は、 1人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。

引用元:国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
 
個人が贈与した場合、年間110万円未満であれば贈与税はかかりません。
 

相続時精算課税

「相続時精算課税」を選択した贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から2500万円の特別控除額を控除した残額に対して贈与税がかかります。
なお、この特別控除額は贈与税の期限内申告書を提出する場合のみ控除することができます。

引用元:国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
 
相続時精算課税制度を選択した場合、贈与者が死亡すると、相続財産に相続時精算課税制度で贈与した財産も加算されます。特別控除を利用できる点と、相続税のほうが贈与税よりも低い税率である場合が多いので、税率を抑えることができるのが良いところです。しかし、相続時精算課税制度を選択しますと、それ以降は暦年贈与に変更することができません。
 

【PR】相続する土地・マンションがあなたの生活を助けるかも?

トラブルを防ぐために知っておきたいポイント

水掛け論にならないためには

贈与は契約書がなくても成立する契約ですが、上記のような「渡した」「受け取ってない」というような水掛け論になってしまう恐れがあります。そこで、トラブル回避のために「贈与契約書」を用意することがおすすめです。
 
贈与契約書には明確な様式はないのですが、①誰が②誰に③いつ④何を⑤どのような方法で渡すのか、の5つについて書くことが一般的です。①で贈与する人を特定し、②で誰に贈与するのかを明確にします。そして、③でいつ贈与をしたのかを示し、④でどの財産をどれほど贈与するのかがわかるようにします。最後に⑤でどのような方法で贈与するのかを示します。この5つがあれば、どのような贈与だったのかわかりますね。
 

贈与をした際に税率を抑えるには

贈与をした際に押さえておきたいのは、自分が暦年贈与と相続時精算課税制度のどちらを選ぶのかを考え、理解することです。
 
暦年贈与であれば、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産が110万円未満に抑えられているかを意識してください。もし超えてしまった場合は、超えた部分の金額で贈与税がかかってしまいます。また、水掛け論のトラブルを防ぐためには、1年に1度贈与契約書を締結していく必要があります。手間はかかりますが、110万円未満であれば申告も必要ではありませんので、どちらが自分に合っているかを考えてみましょう。
 
相続時精算課税であれば、特別控除を利用でき、相続時には贈与税よりも税率が低いといえる相続税を利用できます。こちらも、暦年贈与のほうが良いのか、相続時精算課税制度のほうがいいのかは人によって異なりますので、自分に合っているのはどちらかを調べてみてください。
 

贈与のポイントを理解しましょう

贈与は家族間でも成立しますし、金額や方法によっては高い税率がかかってしまいます。家族間だから、といって簡単に贈与するのではなく、自分の中で税金などについてしっかりと考えておくことが大切です。贈与をする際には、贈与契約書を用意すること、暦年贈与と相続時精算課税制度のどちらを選択するのかを考え、理解することを意識しましょう。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合

国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

ライターさん募集