相続手続きが簡単になる「法定相続情報証明制度」とは?
配信日: 2022.08.06
相続手続きにあたっては、さまざまな書類の提出が必要になりますが、「法定相続情報証明制度」を用いればずっと簡単になります。
そこで今回の記事では、「法定相続情報証明制度」について詳しく解説していきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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法定相続情報証明制度とは?
法定相続情報証明制度とは、戸除籍謄本等の束と相続関係の一覧図を法務局に提出すると、登記官の認証文が付いている一覧図の写しが無料で交付される制度のことです。
ひとたび法定相続情報一覧図の写しを取得すれば、その後の相続手続きでも使えるようになるため、いちいち戸除籍謄本等の束を出す必要はありません。つまり、相続手続きがずっと簡単になります。できる限り効率的に進めるに越したことはありませんので、忘れずに取得しましょう。
ただし、実際に法定相続情報一覧図の写しを取得するためには、それなりに時間がかかります。目安としては届け出を出してから1週間程度はみておいたほうが良いでしょう。できるだけ早く取得したいなら、あらかじめ必要書類を集めておくのをおすすめします。
費用の大幅な節約にもつながる
なお、法定相続情報証明制度自体は2017(平成29)年5月29日からスタートしています。この制度が導入される前は、金融機関や法務局、税務署や裁判所などで相続手続きを行う際、個別に戸除籍謄本を提出しなくてはいけませんでした。原本で用意しなければいけないことも多かったため、取り寄せる手間も費用もかかったのです。
しかし、法定相続情報証明制度であれば、戸除籍謄本等の束と相続関係の一覧図を1セット用意すれば、さまざまな相続手続きで使える相続情報一覧図が手に入ります。時間はともかく、費用の大幅な節約につながるのは大きなメリットです。
法定相続情報証明制度の手続きの流れについて
法定相続情報証明制度に基づき手続きを進める際の流れは以下の通りです。
必要書類を集める
法定相続情報一覧図を作成する
申出書を記入して届け出する
それぞれの段階について、何をするのかをより具体的に説明していきましょう。
必要書類を集める
最初に、必要書類を集めましょう。必ず必要になるものと、一定の条件に当てはまる場合に必要になるものがあります。
【図表1】
必ず必要になるもの | ・被相続人の戸除籍謄本 ・被相続人の住民票の除票 ・相続人の戸籍謄抄本 ・申出人の氏名や住所が確認できる公的書類(運転免許証のコピーやマイナンバーカード表面のコピーなど) |
一定の条件に当てはまる場合に必要になるもの | ・各相続人の住民票記載事項証明書 ・委任状 ・申出人と代理人が親族関係にあることがわかる戸籍謄本 ・資格者代理人(※)団体所定の身分証明書の写し等 ・被相続人の戸籍の附票 |
出典:リーフレット「法定相続情報証明制度が始まります!」(法務局 )を基に筆者作成
事前に必要書類を用意しておけば、素早く法定相続情報証明制度の手続きを行うことができるでしょう。被相続人の住所地が遠方にあるため、自分で戸除籍謄本や住民票などの書類を取りに行く時間がない場合は、郵送してもらうことも可能です。その場合、手数料がいくらかかるかは確認しておきましょう。
もちろん、相続手続きを司法書士や弁護士に頼むなら、書類の取得もお願いすることができます。ただし「1通につき○円」など手数料がかかるため、事前に見積もりを取ってもらいましょう。
法定相続情報一覧図を作成する
被相続人および戸籍の記載からわかる相続人を一覧にした図を作成する必要があります。
一覧図の作成方法は、法務局公式サイト「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」にて記載例が紹介されているので参考にしてみてください。どうしてもわからない場合は最寄りの法務局に出向き質問してみましょう。
申出書を記入して届け出
必要書類を用意し、法定相続情報一覧図を作成した後は申出書を記入して届け出を行いましょう。下記のいずれかを管轄する登記所の中から選んで届け出を行うことが可能です。
・被相続人の本籍地
・被相続人の最後の住所地
・申出人の住所地
・被相続人名義の不動産の所在地
届け出は登記所に出向いて行うのが基本ですが、時間的に難しい場合は書類を郵送する形でも構いません。ただし、郵送する際は返信用の封筒と郵便切手も同封する必要があるので忘れないようにしましょう。
また、登記所の窓口に出向く場合は、本人確認が行われるため、運転免許証やマイナンバーカードが必要です。いずれにしても、法定相続情報証明制度を利用する際は、事前に流れを把握し、書類も早めに準備しておきましょう。
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不動産を相続するなら手続きの流れを把握しておこう
不動産を含め、何らかの財産を所有している人が亡くなった場合、遺族は相続手続きに追われます。相続税の申告・納税には「相続が発生した(亡くなった)ことを知った日から10ヶ月以内」という明確なタイムリミットがある以上、できる限り効率的に進めましょう。
事前に「どこに何の書類を提出すれば良いのか」「その書類はどこで手に入れるのか」を理解しておくだけでも、きっと違ってきます。今回紹介した法定相続情報証明制度もうまく活用しましょう。
出典
法務局 「法定相続情報証明制度」について
法務局 主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部