更新日: 2022.08.10 葬儀

海洋散骨葬っていくらかかるの? 海に骨をまいたら違法じゃないの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

海洋散骨葬っていくらかかるの? 海に骨をまいたら違法じゃないの?
さまざまな葬儀形式がある中で、自然葬の1つとして注目されている「海洋散骨葬」。文字通り海に散骨する方法で、有名人などが海洋散骨葬をしたニュースなどで、その言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。実際のところ、海に骨をまくことは違法にはならないのでしょうか。
 
今回は、海洋散骨葬についてルールや費用を紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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海洋散骨葬とは?

海洋散骨葬とは、故人の遺骨を海にまく葬儀形式のことです。身寄りがない、海が好き、自然に帰りたいなどの理由から海洋散骨を希望する人も多くいます。船で沖合まで行き、パウダー状にした遺骨を海にまくのが一般的な流れです。
 
墓地に埋葬したり納骨堂に骨壺を納めたりする納骨などとは異なり、散骨してしまうので墓標はありません。同じ自然葬でも樹木葬の場合はお墓参りをする場所があるので、この点が最大の特徴といえます。本人の希望で実施されることが多いですが、墓標がないことなどを理由に親族が反対するケースもあるので、生前にしっかりと話し合っておくことが重要です。
 

海洋散骨は違法?

結論から言うと、海洋散骨は適切に行われれば違法ではありません。海洋散骨を直接規制する法律は整備されていませんが、厚生労働省は2020年、散骨が関係者の宗教的感情に適合し、公衆衛生等の見地から適切に行われることを目的に「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」を発表しており、およそ次のように記しています。
 

▽法令等の遵守

散骨事業者が散骨するには、「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」「刑法」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」「海上運送法」「民法」等の関係法令、地方公共団体の条例、ガイドライン等を遵守すること
 

▽散骨の定義

墓埋法に基づき適法に火葬された後、焼骨を粉状に砕き、同法が想定する埋蔵または収蔵以外の方法で、陸地または水面に散布、または投下する行為
 

▽散骨を行う場所

① 陸上では、河川・湖沼を除くあらかじめ特定した区域
② 海洋では海岸から一定以上離れた海域
 

▽焼骨の形状

その形状を視認できないよう焼骨を粉状に砕くこと
 

▽関係者への配慮

散骨する際に散骨事業者は、関係者(地域住民、周辺の土地所有者、漁業者等)の利益、宗教感情等を害することのないよう十分に配慮すること
 

▽自然環境への配慮

散骨する際に散骨事業者は、プラスチック等を原材料とする副葬品等を投下するなど、自然環境に悪影響を及ぼすような行為は行わないこと
 
海洋散骨でトラブルにならないためにも、勝手に判断をせず、専門業者に依頼したり相談したりすることが理想的です。
 

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海洋散骨葬の費用

特別な思い入れがあって海洋散骨葬を選択する人がいる一方で、費用が少なくて済む点をメリットと考えて選択する人も少なくありません。通常、お墓を建てようとすれば数百万円単位の費用がかかりますが、海洋散骨であれば粉骨費用を含めても数十万円ほどで実施できます。散骨地までの旅費交通費や献花用のお花代などを合わせても、かなり少額で実施できるのが特徴です。
 
お墓のようにその後の維持費もかかりませんし、残された人がお墓の管理をする必要もなくなります。遺骨の全てを散骨するのではなく、一部を手元に残し置物やペンダント納める「手元供養」と併用する人もいます。
 
遺族にとっては少し寂しい側面もあるかもしれませんが、負担を考えて本人の強い希望で海洋散骨葬を選択するケースもあります。船を貸し切って実施するプランや散骨を代行するプランなど、業者によって提供するサービスが異なるので、料金を含め事前によく検討する必要があるといえます。
 

海洋散骨はルールを守れば選択肢の1つに!


 
海洋散骨は、ガイドラインに基づき法令を遵守し、マナーと節度を守って実施すれば葬儀形式の1つとして認められています。費用面でもメリットがあるほか、お墓がない、身寄りがない、など本人の強い意志で海洋散骨を選択するケースも増えています。墓標がないため残された家族の理解も必要ではありますが、自分が亡くなった後の1つの選択肢ともいえそうです。
 

出典

厚生労働省 散骨に関するガイドライン
一般社団法人日本海洋散骨協会 ルール・マナー
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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