「暦年贈与」のつもりでも税金を取られる?暦年贈与の注意点を解説!

配信日: 2022.08.19

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「暦年贈与」のつもりでも税金を取られる?暦年贈与の注意点を解説!
基礎控除額が年間110万円という「暦年贈与の非課税枠」について、単に「毎年100万円を贈与すれば、10年間で1000万円贈与できる」と考えていると、結果的に多額の贈与税を支払うことになるかもしれません。
 
暦年贈与は最も一般的な相続対策ですが、方法を誤ると、想定していなかった金額の贈与税を支払う事態を招きかねません。
FINANCIAL FIELD編集部

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暦年贈与とは?

通常、贈与を受けると、その取得した財産に対して「贈与税」が課税されます。贈与税は「累進課税方式」であり、贈与財産の価値が高いほど税率が上がります。しかし、「暦年贈与」という制度を使えば、贈与税を非課税にできます。
 
そのため、贈与税および相続税対策として多用される、まさに王道の節税対策となっています。しかし、後述するようにやり方を誤りますと、通常通り贈与税が発生します。
 

暦年贈与の制度概要

「暦年贈与」とは、受贈者(もらう人)1人当たりの年間贈与額が110万円以下(基礎控除額)であれば、贈与税が非課税となる制度です。例えば、1000万円の相続財産があり、1回で全てを贈与した場合には、1000万円-110万円×30%=267万円の贈与税がかかります。
 
しかし、暦年贈与を活用して、10年に分けて1000万円を贈与すれば、267万円の贈与税は課税されません。110万円の相続財産の対象となるのは現金だけではなく、株式などの有価証券や不動産などを含みます。暦年贈与は、申告手続きなしで活用できるため、相続税対策の王道手段として、広く利用されています。
 

定期贈与とは?

定期贈与とは、毎年一定の金額を一定期間贈与することです。例えば、1000万円の贈与を目的として、毎年100万円を10年間にわたり贈与する場合が該当します。
 
この場合、「1000万円を贈与する」という目的があり、それを毎年分割することになるので、1000万円に対して贈与税が発生します。長期にわたり、少しずつ贈与を行い、暦年贈与をしているつもりであっても、税務署が「定期贈与」だとみなすと、贈与税が発生するのです。
 
暦年贈与であるとみなされるためには、ある年は「年初に90万円」を贈与、次の年は「夏に110万円」を贈与したといったように、定期的であるとみなされないことが必要です。
 

定期贈与とみなされない暦年贈与を行うために

暦年贈与は上手に活用することで、多額の相続財産を非課税で次の世代に移転できます。しかし、税務署が定期贈与と「みなす」と、当初想定していなかった贈与税が発生します。税務署から定期贈与とみなされないために贈与する側とされる側が暦年贈与についての理解を深める必要があります。
 

贈与契約書を作成する

贈与契約書を作成することで、贈与を行った時に実際に贈与が行われたことを後から証明できるようになります。これによって、受贈者と贈与者の間に贈与の意思があったことが分かります。贈与契約書には贈与実施の日付、金額、作成日を記載し、両者が証明します。
 
そして、公証役場の「公証人に認証してもらう」ことで、内容に高い信頼性と証拠力を付与できます。
 

贈与する時期を変更する

毎年同じ時期に贈与を繰り返すと、税務署は「贈与する総額が決まっていたのではないか(定期金給付契約が交わされていたのではないか)」と疑います。
 
そのため、「毎年贈与する時期を変更」しましょう。ある年は年初に、次の年は受贈者の誕生日に、またある年は年末に、というように贈与するタイミングを変更し、その度に贈与契約書を作成します。
 

一定金額を贈与しない

定期贈与とみなされないために、毎年贈与する金額を変更します。毎年110万円を贈与していると「贈与開始時に総額を贈与する意思があった」と思われてしまいます。
 
例えば、1年目は90万円、2年目は110万円、3年目は109万円といったように毎年贈与する金額を変更します。贈与契約書に記載される贈与額が毎年異なることで、たまたま贈与したことを示すことができます。
 

贈与は銀行振込で行う

贈与契約書は両者の贈与に対する意思と贈与の事実を証明するものです。
 
しかし、贈与を銀行振込で行うことで、振込の日付、金額、振込先が記録に残ります。贈与契約書と通帳の記録で二重に証拠を残すことができます。現金で手渡しすると、証拠が明確ではないので、贈与の事実を証明することが難しいです。
 
また、「現金手渡しであれば、贈与の事実がバレないのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし、受け取った現金を銀行に入金すれば、税務署に後から簡単に確認されます。税務署に隠れて多額の贈与を行うことは絶対にやめましょう。
 

受贈者が口座を管理する

未成年、若い子や孫に贈与する時に贈与者が受贈者の口座を管理していることがあります。受贈者の口座を作成し、通帳や印鑑を管理しているなどの場合です。しかし、これは「名義預金」とみなされてしまいます。
 
名義預金とは、口座の名義人と真実の所有者が違う預金です。この場合、暦年贈与として認められず、相続発生時に「相続財産の一部」として扱われます。相続財産ですので、「相続税」が発生することになります。
 

110万円超を贈与して申告する

暦年贈与の非課税枠である110万円を超えると、贈与税が発生します。この時、超過分について贈与税の申告を行います。
 
贈与する金額を111万円として、あえて申告をすることで、税務署に贈与の証拠を残すことができます。手間がかかりますが、暦年贈与を確実にするために有効な方法です。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
大和証券 金融・証券用語解説 [定期贈与]
埼玉りそな銀行 賢く活用!暦年贈与のポイントと注意点
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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