【2024年義務化】相続登記ってなに? やらなければならないの?
配信日: 2022.08.23
なぜなら、亡くなった人の名義のままでは不動産の売却や抵当権設定等ができませんし、2024年4月1日以降は、相続登記の義務化が始まります。
相続登記はどのように行えばよいのか、その流れについてお話します。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
どのような手順で行えばよいの?
不動産を持っている人が亡くなってからの事務的な手順は以下のとおりです。
- 1. 不動産を相続する人を決定
- 2. 必要書類の準備
- 3. 不動産の名義変更(相続登記)
1. 不動産を相続する人を決定
不動産を相続する人を決めるためには、2つの方法があります。
(1)遺言
亡くなった人(被相続人)が、生前に遺言書で不動産の取得者を定めていれば、原則として遺言書に記載されていた人が不動産を取得します。
(2)遺産分割協議
被相続人が遺言をしていなかった場合、相続人間で遺産分割協議を行い、不動産の取得者を決定します。相続人全員が同意するのであれば、1人が所有しても全員で共有しても構いません。
遺産分割協議は相続人全員が参加する必要がありますので、相続人の中に認知症の人や行方不明の人などがいた場合は、不在者財産管理人や成年後見人など、遺産分割協議に代理で参加する人を家庭裁判所で選定してもらう必要があります。
2. 必要書類を準備する
不動産を取得する人が無事に決まったら、不動産の名義変更(相続登記)を行うために必要な書類を準備します。必要書類は以下のとおりです(遺産分割協議で決まった場合)。
・登記申請書
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
・被相続人の除票
・相続人全員の戸籍謄本
・不動産の名義を相続する人の住民票
・固定資産税評価証明書または固定資産税通知書
ただし、おのおのの事案によって多少変わってきますので(例:遺言の場合は遺産分割協議書ではなく遺言書等)、ご自身で登記を行う場合は、法務局に確認するようにしましょう。
3. 不動産の名義変更(相続登記)をする
必要書類が準備できたら、その不動産の所在地を管轄する法務局で登記を行います。
登記は郵送やオンラインでも可能ですが、オンライン申請は設定等の手間がかかります。軽微なミス等があった場合にすぐに修正できるので、窓口申請をお勧めします。
いつまでに行えばよいの?
2022年8月時点、不動産の名義変更には期限はありません。しかし、2024年4月1日以降の義務化以降は、土地の取得を知った日から3年以内に相続登記を行う必要があります。
そして、正当な理由がなく期限を過ぎてしまった場合には、10万円以下の過料の対象となります。
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費用はどれくらいかかるの?
相続登記の際に必要となる費用は、(1) 登録免許税、(2) 必要書類の取得費用が発生します。また、これらを司法書士に依頼した場合、その報酬も発生します。
(1) 登録免許税
登録免許税とは、相続登記を申請する際に法務局で納める税金で、相続時の不動産の名義変更にかかる登録免許税は、原則として以下のように計算されます。
・登録免許税額=固定資産税評価額×4/1000
また、遺贈(遺言によって相続人や相続人以外の人に財産を引き継がせること)の場合の登録免許税は、次のとおりです。
・登録免許税額=固定資産税評価額×20/1000
例えば、相続登記をする土地の固定資産税評価額が1億円である場合の登録免許税は、40万円(遺贈の場合は200万円)です。
そのため、評価額が高額ですと登録免許税も高額となりますので、あらかじめ一定の資金を用意しておく方がよいでしょう。
(2) 必要書類の取得費用
上記のとおり、相続登記をするためには多くの書類が必要ですが、それらの多くは手数料がかかります(例:戸籍謄本の場合1通450円)。
特に遠方の場合で取りに行くのが難しい場合は、さらに郵送代がかかってきますし、兄弟姉妹やおい・めいが入ってくるような相続人が多い場合は、さらに費用がかかってきます。
それぞれの書類の取得手数料は、各自治体等によって異なりますので注意が必要です。
複数の不動産や相続人が多い場合は専門家に依頼することも
1つの不動産で、相続人も配偶者と子どもだけのようなシンプルな相続であれば、ご自身で手続きすることも可能かもしれません。しかし、不動産が複数あったり、遠方にあったりする場合は、時間もかかり一筋縄ではいかないケースもあります。
このような場合は、専門家に依頼するのも1つの方法です。
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表