更新日: 2022.08.24 葬儀
「葬儀は家族のみ」「墓・仏壇なし」―少子化における終活事情とは?
今回は、少子化が進んでいる現代において、終活事情がどのように変化しているのかについて解説します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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葬儀スタイルの変化
ひと昔前であれば、一般葬の形をとるケースが多くみられましたが、最近は形式が変わってきているようです。
株式会社鎌倉新書が2020年3月~2022年3月の間に行った、お葬式に関する全国調査(調査対象:2020年3月~2022年3月に喪主または喪主に準ずる立場を経験したことのある、日本全国の40歳以上の男女1955人)(※1)によると、一般葬よりも家族葬の割合が多くなっていることが分かります。
もちろん、コロナ禍という時期も大きく影響していますが、2020年には一般葬が約49%、家族葬は約41%だったのに対し、2022年の一般葬の割合は約26%にまで減少し、一方で家族葬の割合が約56%にまで増加しています。
「コロナでなければ行いたかった葬儀」のスタイルとして、いまだ一般葬の方が家族葬より割合が多い点は見逃せないものの、コロナを経て、葬儀に関する考え方も変化している可能性があります。
少子化や核家族化が進んだことにより、多くの費用がかかる一般葬よりも、家族葬を選ぶ人が増えていることも、理由の1つとなっているようです。
■家族葬が増えている理由
家族葬が増えてきた理由として、費用面もありますが、平均寿命の延びも影響しています。
葬儀に参列する人も高齢化しており、かつ、リタイアから長く時間がたった元勤務先には、知った人も少なくなります。
また最近では、親戚付き合いや近所付き合いも希薄になっていることから、身内や親族のみで取り扱う家族葬を選ぶ人が増加しているといえます。
さらに、「おひとりさま」が増えている現状も、家族葬の増加を反映しています。
おひとりさまは自分の亡き後の葬儀について、エンディングノートなどに記載しているケースもありますが、自分で葬儀会社を見つけ、事前にどのような葬儀を行うかを決めている人もいます。
そこで、残された親族の負担をできるだけ少なくする目的で、家族葬を選択する人が多い傾向にあるようです。
■家族葬にかかる費用
一般葬にかかる費用が約150万円であるのに対し、家族葬の場合は約100万円といわれています(※2)。一般葬の3分の2程度の費用で葬儀が行える点も、家族葬を選ぶ理由の1つといえます。
そのほかにも、参列者に対する接待の負担を少なくできる点も、メリットといえるでしょう。
お墓や仏壇を持たない考え
また、最近ではお墓を建てることや、仏壇を持つという考えが少なくなりつつあります。
■お墓や仏壇を持つことに対する悩み
今後さらに少子化が進むことにより、お墓や仏壇の管理を受け継いでくれる後継者がいないことが、一番の悩みとして挙げられる可能性があります。
お墓は維持するために費用が発生しますし、仮に“墓じまい”をしなければならないということになれば、多額の費用と手間がかかります。
また、現代の住まいに仏壇を置く、という考えも薄れてきています。
田舎の実家には仏壇があったけれど、そこに住んでいる人が亡くなった時点で、お寺に引き取ってもらったというケースもあるでしょう。
将来的にそのようなことになるのならば、最初からお墓や仏壇を持たない方がよいと考える人もいらっしゃるでしょう。
■最近注目されている樹木葬
樹木葬には、墓守の後継者が不要であることや、費用を安く抑えられるというメリットがあります。
自然が多く、公園のように整地された場所に埋葬してもらえるため、自然に囲まれながら眠りたいと思う人に向いています。
また、残された家族や親族に負担がかからない点も、メリットといえるでしょう。
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まとめ
葬儀の方法やお墓や仏壇をどうするかは、自分だけで決められる話ではありません。現状の問題点を挙げ、その解決のためにこのようにしたいという思いを家族に話し、納得してもらう必要があります。
なかには、やはりお参りするお墓があってほしいと願う家族や親戚もいるでしょう。自分だけが描いている葬儀やお墓、仏壇のイメージと、家族が持っているイメージは異なります。
もし、ご自身に子どもがいるなら、お墓や仏壇を維持する経済的、物理的負担を背負えるかどうかも確認しておく必要があります。
お墓はいらないけれど、お骨に対して手を合わせる場所が欲しいと考える人もいます。遺骨をペンダントなどに入れて身に着けるなど、さまざまな方法がありますが、それが永久に続くと考えるのは難しいでしょう。
遺骨はどこにでも処分できるわけではないため、遺骨の一部を自宅に持って帰るという選択をする場合は、将来の遺骨をどう処分するかについても、考えておくことが大切です。
お墓や仏壇、そして葬儀に対する考え方は時代に応じて変化していますが、亡くなった人を見送り、その後定期的にお参りする、といった考え方をもつ親戚縁者もいることなどを踏まえ、自分そして遺(のこ)された家族や親族が納得する方法を考えることが大切です。
出典
(※1)鎌倉新書 第5回お葬式に関する全国調査(2022年)
(※2)鎌倉新書 いい葬儀 家族葬とは?葬儀の流れや費用、参列者はどこまで呼ぶ?香典やお布施など知っておきたいこと
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員