孫への教育資金の援助。「都度贈与」なら非課税になるの? 暦年贈与と何が違う?
配信日: 2022.08.31
そこで本記事では、都度贈与で非課税になるケースを詳しく解説します。「暦年贈与」についても紹介するので、この機会に両者の違いも把握しておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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非課税と認められる都度贈与
一般的な贈与は、年間で110万円まで非課税という話を聞いたことがある人もいるでしょう。しかし、教育費に関しては、「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」により30歳未満の孫などが祖父母などの直系尊属から教育資金の贈与を受けた場合、受贈者1人あたり最大1500万円までが非課税となります。教育費に含まれる費用は、学費から教材費、文具費までと幅広いです。
ただし、生活費や教育費の「都度贈与」に関しては、譲渡金額の上限は設けられていません。都度贈与とは、文字通り必要に応じてその都度お金を贈与することです。生活費や教育費の名目で受け取った財産のうち、その都度渡されたものには、税金を課せられないことが法律で定められています。
しかし、「必要に応じて」という点がポイントであり、そのタイミングでお金を贈与することが条件になっています。例えば、祖父母が孫に贈る教育資金も上記の財産に該当し、進学に伴う費用分を入学時に渡す場合などは非課税となります。
都度贈与に関する注意点
都度贈与で税金がかからないのは、あくまでも必要に応じて実施した場合のみです。将来の分まで渡してしまうと、全額を教育に使ったとしても非課税の対象外になります。
例えば、孫が誕生したときに、義務教育にかかる費用分をまとめて贈与すると非課税になりません。また、教育資金として渡したにもかかわらず、他の用途に使った場合も税金を課せられてしまいます。念のために多く贈与した結果、余った分を趣味などに充てると、その金額は課税の対象になるのです。
対策として、必要な金額を正確に把握し、教育に費やした証拠を残すことが挙げられます。入学費や授業料の場合、祖父母が孫の学校に直接支払うことが理想です。孫やその両親の口座に振り込むなら、贈与金の使途や都度支払ったことが分かるように、領収書を保管して贈与した金額や日にちを明確にしておきましょう。
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暦年贈与とは? 相違点も要チェック
暦年贈与でも教育資金を贈る際の課税を回避できます。年間の贈与額が110万円までなら非課税というルールを利用し、その範囲内に収まる金額を渡す方法です。都度贈与と違って上限に注意を要しますが、用途を限定されないというメリットがあります。教育資金として贈っても、実情に合わせて交際費などに使えるというわけです。
したがって、孫の受け取る総額が年間で110万円を超えないなら、暦年贈与を選択したほうが課税されるリスクは小さくなります。
ただし、計画的に暦年贈与を繰り返していると、贈与税の対象になる可能性があります。例えば、10年にわたって100万円ずつ贈ると、1000万円を贈与した場合と同様にみなされ、課税対象となる可能性があるのです。一方、たとえ毎年渡したとしても、必要に応じて実施する都度贈与ならそのような心配は不要です。
非課税になる条件を正しく把握しておこう!
孫が使える教育資金を増やすためにも、なるべく課税額を減らしたいものです。都度贈与なら非課税にできるので、必要に応じて渡すことがポイントになります。ただし、暦年贈与も有効であり、自分たちにとって便利なほうを実施するのが得策です。どちらも選べるように、都度贈与や暦年贈与について正しい知識を身につけておきましょう。
なお、「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」の適用は2023年3月末までとなっていますので、注意してください。
出典
国税庁 【贈与税の申告等】 Q26 贈与税の申告をする必要がある人は、どのような人ですか。
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
一般社団法人全国銀行協会 Q.孫への教育資金援助、注意すべき点はありますか?
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部