更新日: 2022.09.28 贈与

ご祝儀や香典、受け取ったら税金を支払う義務はある?

執筆者 : 伊達寿和

ご祝儀や香典、受け取ったら税金を支払う義務はある?
人生の中で、何度か冠婚葬祭に関わることがあるでしょう。ご祝儀や香典などを受け取ると、それらは課税の対象になり、申告をしなければならないのでしょうか? それとも税金はかからないのでしょうか?
 
ご祝儀や香典を受け取ったときの税金の考え方のほか、結婚資金に関する非課税制度についても紹介します。
伊達寿和

執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)

CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。

親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp

ご祝儀や香典は基本的に非課税

原則として、個人から財産をもらったときは贈与税の課税対象となり、現金以外に不動産や株式などの贈与を受けたときも、対象となります。しかし、財産の性質や贈与の目的などから見て、贈与税がかからないケースもあります。
 
国税庁のホームページでは、贈与税がかからないケースの1つに、「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」とあります。
 
ご祝儀や香典はこれに当てはまり、基本的には贈与税がかかりません。また、申告をする必要もありません。個人ではなく、勤務先の会社からお祝い金や香典などが支給されることもあります。
 
一般に、住宅手当や家族手当など会社から支給される手当は、給与所得として所得税の課税対象になりますが、結婚祝い金や香典、見舞金などは、社会通念上相当と認められるものであれば、所得税はかかりません。
 
前述した贈与税がかからないケースに「社会通念上相当」との記載がありますが、具体的な金額が決められているわけではありません。ご祝儀であれば1人当たり3万円~5万円、多くて10万円といったところが、一般的ではないでしょうか。
 
極端な例として、1人から100万円をまとめてもらった場合は、社会通念上、相当ではない金額として贈与税が課税される可能性があります。判断が難しい場合は、税理士やお近くの税務署に確認するといいでしょう。
 

税金がかかるケース

ご祝儀などであっても、税金がかかる場合があります。個人ではなく、個人事業主や法人としてご祝儀や香典を受け取るケースです。
 
例として、個人で新たに事業を始めるときに、事業関係者から開業祝いとしてご祝儀を受け取るケースや、社葬で法人が香典を受け取るケースなどが該当します。個人事業主の場合は所得税、法人の場合は法人税の課税対象になります。
 

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結婚資金の一括贈与の非課税制度とは

ご祝儀と関連して、結婚資金をまとめて受け取った場合には、贈与税の非課税制度を利用することができます。
 
これは、20歳以上(令和4年4月以降は18歳以上)50歳未満の人が、結婚・子育てに充てるための資金について、直系尊属(父母や祖父母など)から一括で贈与を受けた場合に贈与税が非課税となる制度です。
 
一括での贈与による非課税限度額は1000万円で、そのうち結婚資金は300万円が上限となっており、結婚資金だけでなく、その後の出産・子育ての資金を含めて、非課税で贈与を受けることが可能になります。
 
贈与時や贈与された資金を引き出す際に、金融機関で一定の手続きが必要となるので、少し使いづらいと感じるかもしれませんが、2023年3月31日までの間に受けた贈与を対象として利用することができます。
 

まとめ

ご祝儀や香典を受け取っても、一般常識の範囲であれば非課税と考えていいでしょう。また、結婚資金などでまとまった金額の贈与を一括で受けた場合は、贈与税の非課税制度を利用する方法もあります。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 令和4年版 源泉徴収のあらまし 第2 給与所得の源泉徴収事務
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
 
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

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