お得に生前贈与ができる相続時精算課税制度ってどんな制度? FPが分かりやすく解説します!

配信日: 2022.09.30

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お得に生前贈与ができる相続時精算課税制度ってどんな制度? FPが分かりやすく解説します!
多額の財産を所有する親が亡くなると、相続時の相続税の負担が大きくなります。そのため、事前対策として生前贈与を選択する家庭も少なくありません。
 
生前贈与を行う場合、相続税の代わりに贈与税がかかりますが、「相続時精算課税制度」を適用すれば、お得に贈与できるケースがあります。
 
この記事では、相続時精算課税制度の概要やメリット・デメリット、適用が向いているケースについて分かりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合に利用できる制度です。
 
この制度を適用した場合、贈与税の額は贈与財産の合計から最大2500万円の特別控除額を控除でき、超過した分は一律20%の税率を乗じて算出されます。
 
特別控除額が大きいため、贈与税を大幅に軽減できる一方、非課税となった金額は相続税の計算に組み込まれるうえ、一度でも利用すると暦年贈与(通常の贈与)が使えなくなるので、制度の仕組みをよく理解して判断することが大切です。
 
なお、相続時精算課税制度を利用するには、初めて贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に、居住地を管轄している税務署に対して、贈与税の申告を行う必要があります。
 
申告時には受贈者と贈与者の「戸籍謄本」や「住民票」など、複数の書類の添付を求められるので、事前に必要なものをチェックして準備するようにしましょう。
 

相続時精算課税制度のメリット・デメリット

相続時精算課税制度のメリット・デメリットをそれぞれまとめます。
 

【メリット】

最大のメリットは、贈与者1人に対して、2500万円までの財産にかかる贈与税が非課税になる点です。
 
また、2500万円を超過した分の財産の税率は一律20%になりますが、暦年贈与を適用する場合、2500万円以上の財産の税率は45~55%(累進課税)もかかるので、相続時精算課税を適用した場合が税率を抑えられます。
 

【デメリット】

相続時精算課税制度を適用して贈与した財産のうち、2500万円以内の非課税になった金額は、その後の相続税の計算に組み込まれます。したがって、節税効果があるわけではなく、税金の支払いを相続時に先送りしたにすぎない、と考えることもできます。
 
また、贈与税の基礎控除額110万円を利用できなくなり、不動産の場合は「小規模宅地等の特例」が使えず、不動産取得税、登録免除税など別の税金がかかるので、場合によっては損をするケースも考えられます。
 

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相続時精算課税の利用が向いている人

相続時精算課税制度が向いているのは、すでに基礎控除額である110万円以上の贈与をしている人、110万円を超える価値のある財産を所有している人などが挙げられます。
 
この場合、贈与税の基礎控除額110万円を使い切っているため、相続時精算課税制度の特別控除を活用した方が得をする可能性があります。
 
また、この制度を活用して贈与した財産の相続時の計算は、贈与時の評価額が基準になります。そのため、将来評価額が上がる可能性が高い財産を所持している場合は、この制度を活用して、早めに贈与した方が相続税を抑えられるでしょう。
 

まとめ

相続時精算課税制度を適用すると、最大2500万円までの財産にかかる贈与税が非課税になることから、お得に生前贈与ができる制度として広く知られています。
 
しかし、非課税となった金額は相続時に相続税として加算されるうえ、一度適用すると変更ができない決まりもあるので、制度の仕組みを理解して、自分に適しているかどうかを慎重に考えなければなりません。
 
また、贈与税の申告にはさまざまな書類が必要になり、申告期限も決まっているので、書類に不備がないよう、自分で市役所に問い合わせる、税理士などの専門家へ確認する、といった意識も重要です。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4103 相続時精算課税の選択
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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