更新日: 2022.10.31 贈与
「生前贈与」の利用率はわずか32%。行うメリットと適切な相談先を解説
この記事では、生前贈与の概要、メリット・デメリット、相談先について紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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生前贈与の認知度と利用率はどうなの?
弁護士・法律事務所を検索できるポータルサイト「弁護士ナビシリーズ」を運営する株式会社アシロ(東京都新宿区)が2021年8月~2022年9月、男女100名を対象に「生前贈与に関する調査」を行いました。
それによると、「生前贈与という言葉を知っていますか?」という問いに対して、「知っている」と回答した人は86.0%という結果でした。また、「生前贈与の仕組みについて理解していますか?」という問いに対しては、51.0%の人が「理解している」と回答しています。
しかし、「生前贈与を実施していますか?」という問いに対して「実施している」と回答した人は32.0%です。実施しない理由は、「誰に相談すればよいか分からない」「内容がよく分からない」というものであり、節税のチャンスを逃している可能性があります。
生前贈与の概要
「生前贈与」とは、自分が生きている間に、自分の財産を他者に無償で渡すことをいいます。財産には現金、預貯金だけではなく、株式や不動産なども含まれます。
基本的に贈与は、日時や相手、回数に制限はありませんが、贈与する人と受け取る人の間で合意が必要です。また、贈与を受けた人は、受け取る金額に応じて贈与税が課税されます。
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生前贈与のメリット・デメリット
生前贈与の大きなメリットに節税対策があります。
贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、毎年110万円以下の贈与に押さえれば、受け取った人は贈与税を支払う必要がありません。そのため、複数の子どもや孫に対して、毎年110万円以下の贈与を複数年続けることで、非課税枠を有効に活用できる可能性があります。
ただし、税務署に贈与と認められるためには、贈与契約書の作成などが必要になるかもしれません。専門家に相談する際はこのことも確認しましょう。
ほかにも、父母や祖父母から子どもや孫に対して、教育資金や住宅取得などの資金を贈与した場合、一定額まで非課税になるという制度があります。ただし条件を満たす必要がある点と、期間限定の制度という部分に注意が必要です。
一方、生前贈与のデメリットとして、適切ではない生前贈与によって税負担が重くなるリスクを考慮する必要があります。基本的に贈与税は相続税よりも負担が重いため、非課税枠を超えて贈与を行うと、高額の税金が発生する可能性があります。
生前贈与の相談先
生前贈与によって節税効果を期待できるものの、適切に活用するには専門家への相談が大切です。主な相談先に弁護士と税理士があります。
弁護士は生前贈与だけではなく、相続全般の相談に応じてもらえますし、税理士は生前贈与も含め、税金に関するアドバイスに対応してもらえるでしょう。
まとめ
この記事では生前贈与の概要、メリット・デメリット、相談先について解説しました。
年間110万円の基礎控除など、生前贈与を上手に活用することで節税効果を見込めます。ただし適切に実施するには弁護士や税理士のような専門家への相談が重要といえます。
出典
株式会社アシロ「生前贈与」に関する調査結果
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部