更新日: 2022.11.04 遺言書
エンディングノートってどんなもの? 遺言書とは異なるの?
ただし、エンディングノートと遺言書は違うものです。エンディングノートを書いただけでは、万全とはいえないのです。
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
エンディングノートとは
まず、知っておくべきことは「エンディングノートとは何か」ということです。
エンディングノートは、自分に万一のことが生じたとき、残された家族が困らないように財産の目録を書いたり、配偶者や子や孫などに伝えたいことを整理するために、終活時に利用するノートのことです。
なかには、所有する財産について詳細に書かれていたり、どのように分けてほしいかなどの個人的なお願いごとなども書かれていたりするため、相続が発生したとき、遺産分割の参考にすることも可能です。
また、病気やけがをしたときにも大いに役立ちます。例えば、預金や加入している保険に関する情報や緊急連絡先などを書いておけば、スムーズに手続きが取れるだけでなく、必要な人に連絡ができるためです。
エンディングノートに法的な効果はあるの?
エンディングノートに財産に関する情報を書く方もいらっしゃいますが、法的な効果はどのようになるのでしょうか?
遺産分割などの財産に関する内容が記載されていると、法律的な効果があるように思えるかもしれません。とはいえ、エンディングノートに書かれていることは、「お願いごと」でしかないのです。たとえ遺言書のような内容まで書いていたとしても、エンディングノートには法的な効果はないのです。
法律的に有効なものを準備しておくためには、基本的に、遺言書を作成しておく必要があります。ただし、一定の条件を満たしていれば、エンディングノートに法的な効果が生じさせることも、可能になります。
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エンディングノートを法的に有効にする方法とは?
エンディングノートに限らず、遺言書も自分の思いや意志を伝えることに違いはありません。そのため、エンディングノートに遺言書を書く人もいます。エンディングノートを法的に有効なものにするためには、遺言書の要件を満たせばよいのです。
遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあります。そのなかの公正証書遺言と秘密証書遺言は公証役場で作成することが必要になりますので、エンディングノートでの遺言作成はできません。
一方の自筆証書遺言の場合、自分のみで遺言書を作成できます。筆者の相談者さまのなかには、エンディングノートに遺言書を書いてしまう方もいらっしゃいますが、自筆証書遺言の要件を満たすことができれば、法的に有効にすることは可能になります。ただし、必ずしも遺言書として認められるわけではありません。
●遺言者が遺言書全文をしたためる
●書いた日付を入れる
●氏名を書く
●家庭裁判所で検印を受ける
上記の内容を自筆し、押印すれば問題ありません。つまり、これらの要件を満たしていれば、正式な遺言書として認められるのです。
しかしながら、良いことばかりではありません。
自筆証書遺言であれば、「エンディングノートのみ書けばよいから気が楽だ」と思うかもしれませんが、エンディングノートは、元気なときにも家族等に見られてしまう可能性があります。「情報を隠しておけない」というデメリットもありますし、誤って処分してしまう可能性もあります。
さらに、相続の内容を事前に知られてしまい、トラブルとなってしまう可能性も否めません。
そもそもエンディングノートは感謝の気持ちや伝えられなかった思い、思い出などをつづるためのノートです。エンディングノートを書くことは大いに賛成しますが、書き間違いを防ぎ、相続に関する秘密を守るためにも、エンディングノートとは別に遺言書を作成しておくことをおすすめします。
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト