更新日: 2022.11.14 贈与

孫に生活費や学費を残したい。贈与税がかからないようにする方法って?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

孫に生活費や学費を残したい。贈与税がかからないようにする方法って?
物価高が進む一方、2022年10月からは高所得者世帯への児童手当が打ち切りになりました。子どもの教育費のねん出に苦労している世帯も少なくないでしょう。
 
そのような現状を憂い、「孫に不自由のない暮らしをさせ、充実した教育を受けさせたい」と思う人もいるのではないでしょうか。だからといって、安易にお金を渡して課税の対象になると、支援の実効性が下がるので気を付けなければなりません。
 
そこで今回は、孫に生活費や学費を残しても、贈与税の発生を回避できる方法について紹介します。
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扶養義務者なら非課税という原則

最初に、生活費や学費の贈与に関する「原則」を理解しておきましょう。自分が「扶養義務者」なら、被扶養者に生活費や学費を提供しても課税対象になりません。
 
そして、「祖父母」は孫の直系血族に該当するので「扶養義務者」に該当します。したがって、基本的に贈与税の心配はいりませんが、この原則から外れるパターンもあるので注意が必要です。非課税と認められるのは、本当に生活関連や教育関連に使われた場合のみに限られます。余裕があるからといって、投資などの用途に回すと贈与税の対象になるというわけです。
 
また、将来を見据えて先に多く渡すことも良くありません。例えば、小学校の入学時に卒業までの分をまとめて贈与すると課税されます。生活費や学費が必要になったタイミングで、その都度、必要額を受け渡しすることが重要な条件です。
 

年間110万円以下の暦年贈与

税金には「基礎控除」という制度があり、確定申告などの税額計算で所得から差し引かれます。贈与税も例外ではなく、年間で110万円という基礎控除が設定されているのです。つまり、1年当たり110万円までなら、お金をプレゼントされても課税の対象外になります。
 
これは「暦年贈与」と呼ばれるもので、生活関連や教育関連に用途が限定されておらず、出費のタイミングにもルールはありません。よって、なるべく柔軟に利用できる形でお金を残してあげたいなら、この方法を選択すると良いでしょう。
 
ただし、この方法に関しても注意しなければならない点があります。110万円という基準は受け取る側の合計額なので、他にも贈与する人がいる場合は、自分が渡せる上限について計算が必要です。また、毎年同じ時期に同じ金額を渡すなど、“計画的な贈与の繰り返し”も避けることが大切です。その合計額の授受を最初にまとめて実施したと見なされる可能性があるからです。
 

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最大1500万円! 教育資金の一括贈与

学費に関しては、「教育資金の一括贈与」という特例の制度で渡すことも可能です。「令和5年3月末まで」という期限はありますが、1500万円まで課税されずに贈与できます。入学金や学用品の購入費をはじめとして、教育資金に該当する項目は幅広いので、多角的にサポートしたいと思っている場合にはうってつけです。
 
ただし、1500万円という上限は常に適用されるわけではありません。学校などの教育機関に直接支払う場合に限られており、それ以外のケースでは500万円が限度額となっています。
 
いずれにせよ暦年贈与の110万円を大きく上回りますが、そちらの方法とは違って事前に申請する必要があります。教育資金口座を開設して、孫の世帯が納税している税務署に、教育資金非課税申告書を提出しなければなりません。
 

非課税で贈与するための対策をしておこう!

できるだけ多く生活費や学費を孫に残したいなら、発生する税金を意識することが大事です。もちろん非課税での受け渡しが理想であり、そのための方法はいくつか存在します。扶養義務者による提供と110万円以下の暦年贈与、教育資金の一括贈与という3点が基本です。これらの実施を視野に入れて、どうすれば贈与税がかかるリスクを最小化できるか検討しましょう。
 

出典

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 【贈与税の申告等】
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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