更新日: 2022.12.31 その他相続
相続が「争族」になる!? お金持ちではなくても相続対策が必須な理由とは?
しかし遺言書があれば、残された家族がスムーズに相続できるだけでなく、争いごとが起きるのも防止できます。
この記事では、「争族」にならないための対策について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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法定相続分はあくまでも目安
ここでは、法定相続人の決め方と相続割合である「法定相続分」についてみてみましょう。
法定相続人の決め方
民法の規定によって、相続する権利を持つ人を「法定相続人」といい、法定相続人になる人の範囲と順位が定められています。
法定相続人になるのは、被相続人の配偶者と血族のみであり、配偶者は常に相続人となります。配偶者以外の相続人には「相続順位」という優先順位があり、優先順位が高い方から「第1順位」「第2順位」「第3順位」になります。相続する割合の目安も「法定相続分」として民法で定められています。
法定相続人の範囲と相続順位は以下のとおりです。
被相続人の配偶者=常に相続人
第1順位=子、子がいない場合は孫、子と孫がいない場合はひ孫
第2順位=父母、父母がいない場合は祖父母
第3順位=兄弟姉妹、兄弟姉妹がいない場合は甥・姪
第1順位がいない場合には第2順位に、第2順位がいない場合には第3順位に、という風に、相続の優先順位が変わります。
法定相続分
相続割合の目安となる「法定相続分」は、相続順位によって次のように異なります。
・相続人が配偶者のみの場合
配偶者は被相続人の遺産をすべて相続します。
・相続人が配偶者と子の場合
配偶者と子の相続分はそれぞれ2分の1です。
・相続人が配偶者と被相続人の親(父母)の場合
相続分は配偶者が3分の2、親が3分の1となります。
・相続人が配偶者と被相続人の兄弟姉妹の場合
配偶者は4分の1、兄弟姉妹は4分の1となります。
ただし、法定相続分とは、あくまで遺産分配の目安として国が定めた割合であるため、相続人全員が納得すれば、法定相続分と異なる分け方にしても問題はありません。
遺言がない場合は法定相続人の話し合いになる
民法で定められている法定相続分はあくまで目安です。遺産を分ける上で前提となるのが、遺言書の有無です。
遺言書は、被相続人がどのように遺産分割をするか意思表示をした書類で、遺産分割は遺言書に従わなくてはいけないことが民法で定められています。
被相続人の遺言がない場合は、法定相続人は遺産の分割方法・割合を「遺産分割協議」で自由に決められます。遺産分割協議とは、相続人全員の合意のもと、被相続人の遺産の分け方を決めることです。全員の合意があれば、被相続人の子が数人いても、配偶者が遺産を全部受け取ることや、子のうち1人がほかの子よりも多く遺産を受け取ることも可能です。
相続人全員が参加する遺産分割協議で相続分が確定すれば、その内容を記した「遺産分割協議書」を作成します。
全員の合意が得られず、協議が不成立となった場合は、家庭裁判所に「遺産分割の調停」を申し立てて調整してもらいます。その場合、多くは法定相続分に基づく遺産分割となります。
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遺産分割でもめるのは大金もちだけではない
最高裁判所「令和3年司法統計年報 家事編」の 第52表、「遺産分割事件のうち、認容・を除く)―遺産の内容別」によると、遺産分割事件のうち、認容・調停成立件数における遺産の価額別割合は、遺産5000万円以下が半数を超えています。相続問題は資産額に関係なく、どの家庭にも起こりうることが分かります。
【図表1】
出典:最高裁判所「令和3年司法統計年報 家事編」 第52表 遺産分割事件のうち認容・を除く)―遺産の内容別
まとめ
法定相続人・法定相続分・遺産分割協議について解説しました。
遺産分割協議では自由に受け取る割合を決めることができても、話し合いに時間がかかったり、後にトラブルが起きたりする可能性もあり、「争族」になるおそれがあります。
スムーズに相続をしてもらうためにも、遺言書の作成をおすすめします。
出典
最高裁判所 令和3年司法統計年報 家事編
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4132 相続人の範囲と法定相続分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部