更新日: 2023.01.07 贈与

非課税で贈与できる「教育資金贈与」とは? 押さえておくべきポイントを解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

非課税で贈与できる「教育資金贈与」とは? 押さえておくべきポイントを解説
孫や子どもなどに教育資金を贈与したいと考える人もいるでしょう。家族や親族であっても財産を贈る場合には原則「贈与税」がかかりますが、まとまった教育資金を非課税で贈与できる制度もあります。
 
本記事では教育資金の贈与を考えている人のために、2023年3月末で制度が終了予定の「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」の概要と、利用する際に押さえておくべきポイントを解説します。
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教育資金贈与が非課税となる条件とは?

孫や子どもに教育資金を一括贈与する際、税金がかからずに贈与できる「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」という制度が利用できます。要件は以下のとおりです。

●贈与を受ける人:30歳未満の直系尊属(孫や子ども)
●贈与する人の所得制限:合計所得金額が1000万円まで
●用途:教育資金
●非課税となる金額:1500万円まで(習い事代など、学校等以外に支払われる教育費は500万円まで)

※30歳以上で学校等に在学中、または教育訓練を受けている場合は40歳まで

非課税の対象となる教育資金には、図表1のようなものがあります。
 
図表1 教育資金の例

学校等 学校等以外
・入学金
・授業料
・入園料
・保育料
・施設設備費または入学(園)試験の検定料など
・学用品の購入費
・修学旅行費
・学校給食費
・学習塾や水泳教室、ピアノ教室などの習い事代
・習い事に必要な道具など
・通学定期券代
・留学のための渡航費などの交通費

筆者作成
 
この制度を利用するためには、金融機関で教育資金を贈与するための専用口座(教育資金口座)が必要です。金融機関を通じて、「教育資金非課税申告書」という書類を納税地の所轄税務署に提出することで開設できます。この口座は、贈与を受ける人の一人に対して1口座のみ持つことができます。
 
なお、専用口座から教育資金を引き出す際は、贈与を受けた人(未成年の場合は法定代理人)が、教育資金を支払った年の12月31日までに領収書等を提出する必要があります。
 

制度を利用する前に押さえておきたいポイント

2022年12月時点で、本制度は2023年3月末をもって終了とされています。この日まで(または30歳になるまで)に贈与した教育資金が残っている場合、残額に対して贈与税がかかる点には注意しましょう。
 
具体的には、贈与を受けた人が18歳以上の直系尊属(孫や子どもなど)場合、「贈与を受けた教育資金の残額」から「贈与税の基礎控除額である110万円」を引いた金額が贈与税の課税対象です。例えば使いきれなかった教育資金が300万円ある場合、190万円(300万円-110万円)が課税対象となり、19万円(190万円×特例税率10%)の贈与税がかかります。
 
この制度を利用して教育資金の贈与を考えている人は、2023年3月末までに使いきれる金額を贈与することをおすすめします。また贈与を受ける人が23歳以上の場合、習い事代やそれにかかる費用は非課税にはなりません。この点も考慮して贈与する金額を検討しましょう。
 
もし2023年4月以降に教育資金の贈与を予定しているなら、暦年贈与という方法もあります。これは贈与税の基礎控除額である110万円の範囲内で贈与する方法です。つまり年間110万円までの贈与であれば、税金がかからず教育資金を援助できるのです。ただし、教育資金以外の贈与と合わせて110万円を超える場合は、超えた金額に対して贈与税がかかるので注意しましょう。
 

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まとめ

大きな金額の贈与であっても非課税の対象となるのが、教育資金贈与です。節税しながらまとまった教育資金を援助できるお得な制度ですが、2022年12月時点でその期限は2023年3月末とされています。もし教育資金の贈与を考えている人は、この制度を利用できるようタイミングを検討するとよいでしょう。
 
ただし、この制度を利用するためには、贈与を受ける人の年齢や、贈与する人の所得金額など一定の要件があります。また2023年3月末に贈与した教育資金が残っている場合は、贈与税の対象となります。制度の仕組みをよく理解したうえで、利用を検討してみましょう。
 

出典

国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置
一般社団法人全国銀行協会 Q.孫への教育資金援助、注意すべき点はありますか?
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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