更新日: 2023.02.08 贈与
分割贈与で「10年間で200万円」お得? 相続時の節税対策について、最新の制度改正と合わせて確認しよう!
そのため保有財産が多い人は、長期的な観点で節税対策をすることが大切です。本記事では相続税の節税方法を、最新の制度改正と合わせて解説しています。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
相続税がかかるのは遺産が3000万円以上の場合
相続財産に対しては相続税がかかりますが、相続税には基礎控除額があります。
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人
法定相続人とは、配偶者や子、父母などが該当し、民法によって定められています。
法定相続人が全員死亡していても、遺言によって指定された人が相続人となる場合がありますので、基礎控除額の最低金額は3000万円です。(3000万円+600万円×0人)
基礎控除額が最低3000万円あるとはいえ、相続税は財産が多い人ほど高い税率が課されます。財産を多く保有する人は、これから紹介する節税対策を確認しましょう。
対策(1)生前贈与する
生前贈与とは、生存している間に別の人へ財産を無償で渡すことです。生前贈与にも金額に応じて贈与税がかかりますが、贈与税には年間で110万円の基礎控除があります。つまり、1年間に110万円以下の贈与であれば贈与税はかからず、相続する際の相続税対象金額を減らせます。
例えば、父が子に1100万円を一括して贈与すると、本来200万円以上の贈与税がかかりますが、毎年110万円を10年間贈与すれば、贈与税は0円です。
ただし、毎年同じ金額を贈与し続けると、定期贈与とみなされ、毎年の贈与額が110万円以下でも課税されるかもしれません。また、死亡前3年以内の贈与は相続税の対象になるという、3年内加算ルールというものが存在します。
そして、令和5年度税制改正大綱により、2024年1月1日以降の贈与では、3年以内が7年以内に延長されることが決定されました。ちなみに、この加算ルールは孫やひ孫への贈与は対象外です。今後見直される可能性はありますが、贈与する際には頭の中に入れておきましょう。
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対策(2)生命保険金などの非課税枠を利用する
生命保険の被保険者が保険料を負担し、死亡後に相続人が保険金を受け取った場合、相続人は相続税を支払わなくてはなりません。具体的には、父親が自身で保険料を支払い、死亡後に長男が死亡保険金を受け取るような場合です。
そして、この様に被相続人の相続人が受け取った保険金は、相続税の非課税枠を利用できます。非課税枠は「500万円×法定相続人の数」で計算されます。
対策(3)教育資金として贈与する
30歳未満の子や孫に対し、教育資金のためにお金を渡した場合、1500万円までであれば贈与税が非課税となる制度があります。
利用するには、贈与者と受贈者にて贈与契約を結び、金融機関経由で申告書を税務署に提出することが必要です。なお、この制度は当初は令和3年3月31日まででしたが、2年延長され、令和5年3月31日までの適用となっています。
対策(4)結婚、子育て資金として贈与する
18歳~49歳までの子に対し、1000万円までの結婚、出産、子育てに関するお金を渡した場合、渡したお金は非課税となります。なお、贈与金が本当に結婚や子育て目的での支出として使われたのかを証明する領収書等を金融機関に提出しなければなりません。
ちなみに、この制度も教育資金と同様、令和5年3月31日までとなっています。
対策(5)継続的に利益が出る資産を贈与する
株式投資信託や賃貸アパートなど、贈与後にも継続して利益が見込める資産を早い段階で贈与する方法もあります。ただし、賃貸アパートは空室が発生すると家賃が得られません。贈与前にリフォームするなど、借り手がつく状況を整えておきましょう。
相続税対策は早めに検討しよう
相続税の節税対策は今回紹介しなかったものも含めさまざまです。中には教育資金や結婚資金といったように、使える期間が限られたものもあります。また、110万円の控除は長く活用すればするほどお得です。相続税対策は早めに検討しましょう。
出典
国税庁 No.4155 相続税の税率
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
国税庁 No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部