亡くなった家族の銀行口座。凍結されたら二度とお金を引き出せないの?
配信日: 2023.02.10
そこで本記事では、亡くなった家族の口座が凍結された場合の手続き方法や、凍結解除前にお金を引き出せる制度について解説します。いざというときに慌てなくてすむように、予習しておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
手続きをすれば亡くなった家族の銀行口座を凍結解除できる
口座の名義人が亡くなったことを銀行が確認すると口座は凍結され、預金の引き出しが原則としてできなくなります。しかし、永久に凍結されるのではありません。預金の相続手続き(凍結解除手続き)を行われると、口座から再び預金を引き出せるようになります。
遺産分割などの内容が決まったら、必要書類を用意して、各銀行が定める方法で凍結解除の手続きを行いましょう。相続のパターン別の一般的な必要書類は次のとおりです(銀行により異なる場合あり)。
・戸籍謄本(口座名義人、法定相続人全員)または法務局発行の法定相続情報一覧図の写し
・印鑑証明書(法定相続人全員)
・通帳、証書、キャッシュカード、貸金庫の鍵など
・遺産分割協議書
・戸籍謄本(口座名義人、法定相続人全員)または法務局発行の法定相続情報一覧図の写し
・印鑑証明書(法定相続人全員)
・通帳、証書、キャッシュカード、貸金庫の鍵など
・遺言書
・家庭裁判所の検認済証明書(公正証書遺言、自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書の場合は不要)
・戸籍謄本(口座名義人、法定相続人全員)または法務局発行の法定相続情報一覧図の写し
・印鑑証明書(資産を受けとる人、遺言執行者)
・通帳、証書、キャッシュカード、貸金庫の鍵など
凍結解除の手続きは郵送でできる場合も多いため、銀行窓口が遠方にある場合は確認してみましょう。
未凍結でも亡くなった家族の銀行口座から勝手にお金を引き出さないほうがよい
亡くなった家族の銀行口座にあるお金は、口座が凍結される前でも勝手に引き出すことは控えましょう。なぜなら、お金を引き出して相続財産の一部を処分すると、相続を「単純承認」したとみなされる危険があるためです。
単純承認とは、相続財産のプラスマイナスにかかわらず、無条件ですべてを相続することです。単純承認とみなされると、マイナスの財産のほうが多い場合でも相続放棄もしくは限定承認が選択できなくなるため、相続で損をする可能性があります。
家族が亡くなったら「口座が凍結される前に早くしなきゃ!」と慌てて預金に手をつけず、銀行に亡くなった旨を連絡して相続の手続きを取りましょう。
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遺産分割前に故人の銀行口座から当座の資金を引き出せる「預貯金の仮払い制度」とは
2019年に相続法が改正され、遺産分割前であっても、単独の相続人が葬式代などの当座の資金を個人の口座から引き出せる「預貯金の仮払い制度(払い戻し制度)」がスタートしました。
仮払いの手続きに必要な主な書類は、次のとおりです。
・口座名義人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
・相続人全員分の戸籍謄本または全部事項証明書
・預金を払い戻しする相続人の印鑑証明書
預貯金の仮払い制度で引き出せる預貯金の金額は、1つの口座につき次の式で計算した金額までです。
相続人単独の払い戻し可能額(上限150万円)=相続開始時の預金額×1/3×払い戻しする相続人の法定相続分
払い戻し可能額=750万円×1/3×1/2=125万円
上記以上の金額が必要な場合は、家庭裁判所に審判または調停を申し立てて、金額の必要性が認められなければなりません。家庭裁判所の決定が下りたら、次の必要書類をそろえて銀行で手続きし、必要額を引き出す流れです。
・家庭裁判所の審判書謄本(確定表示がない場合は審判確定証明書も必要)
・預金を払い戻しする相続人の印鑑証明書
なお、仮払い制度で払い戻しを受けた金額は、遺産分割において、払い戻しを行った相続人の取得分として調整されます。
銀行口座は凍結されても解除可能
亡くなった家族の銀行口座は、銀行が名義人の死亡を知った時点で凍結されます。遺産分割ののち銀行で資産の相続手続きを取り、口座の凍結が解除されれば、再び預金の引き出しが可能です。
相続放棄の選択ができなくなるなどの問題が起こる可能性があります。そのため、口座が凍結されていなくても、亡くなった家族の預金を勝手に引き出すことは控えたほうがよいでしょう。当座の資金が必要な場合は、預貯金の仮払い制度を利用すると遺産分割前に一定額を引き出せます。
出典
e-Gov法令検索 民法
一般社団法人全国銀行協会 Q.亡くなった親の預貯金、すぐに引き出すことは可能ですか?
一般社団法人全国銀行協会 ご存じですか 遺産分割前の相続預金の払戻し制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部