更新日: 2023.02.21 遺言書

「遺言書いてたんだ……」遺族に遺言の存在を知らせる“通知機能”とは

「遺言書いてたんだ……」遺族に遺言の存在を知らせる“通知機能”とは
相続の際、法定相続人へスムーズに遺産を相続させるために遺言書は非常に有効な手段です。しかし、法的に有効な遺言書の存在を遺族が知らなかった場合、相続が終わった後に遺言書が発見され、かえってややこしい事態になることもあります。
 
遺言書の存在を法定相続人へ適切に知らせるには、法務省が行っている「自筆証書遺言書保管制度」を利用するのがおすすめです。本記事では、自筆証書遺言書保管制度を利用すると使える「通知機能」について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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相続が終わった後で遺言書が出てくる弊害

遺言書とは、被相続人の最終的な意思表示を記した書類です。人が財産や資産を残して死亡した場合、遺産は法律によって定められた遺産相続人に法律に沿って分配されます。しかし、遺言書を作成しておけば、被相続人の希望に添った相続が行えます。
 
遺言書は作成したことを法定相続人に明言し、作成した方が亡くなるまで適切に保管しておくのが理想です。しかし、事情があって遺言書の存在を法定相続人に知らせずに作成した方が亡くなり、相続が終わった後に発見されることもあります。その場合、原則として遺言書に沿って相続をやり直さなければなりません。大変な手間がかかることもあるでしょう。
 
遺言書は時効がないので、故人が亡くなって10年後、20年後に遺言書が発見されても無視はできません。その際は、弁護士など法律の専門家に相談するなど対処が必要です。
 

自筆証書遺言書保管制度を利用すれば通知機能が使える

遺言書には、「公正証書遺言」「秘密証書遺言」「自筆証書遺言」の3種類があります。このなかで、最も多く利用されているのが自筆証書遺言です。自筆証書遺言は手軽に作成や訂正ができるメリットがある一方、不備があれば無効になることや、遺言書の存在を誰にも知らせないと、活用してもらえないことがデメリットです。
 
このデメリットを解消するために、法務省が実施しているのが「自筆証書遺言書保管制度」です。保管手数料として、遺言書一通につき3900円の収入印紙が必要で、原本と画像データが長期間適正な形で保管されます。また、通知機能を利用すれば遺族に自筆証書遺言の存在を知らせることが可能です。
 

死亡時通知と関係遺言書保管通知の違い

自筆証書遺言書保管制度の通知機能には、「死亡時通知」と「関係遺言書保管通知」の2種類があります。
 
死亡時通知とは、遺言作成者が死亡したと公的に認められたとき、遺言書作成者が希望した1名あてに遺言書があることを知らせる通知が届くシステムです。これを利用すれば、希望する方が他の法定相続人より早く遺言書の存在を知ることができます。
 
関係遺言書保管通知とは、法定相続人の誰かが遺言書保管所で遺言書の閲覧または遺言書情報証明書の交付を受けた場合、他の法定相続人全員に遺言書の存在を知らせる通知が届くシステムです。
 
2つの通知方法の違いを理解して、適切に使い分けましょう。
 

自筆証書遺言書保管制度を利用する際の注意点

自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、保管を申請する際に民法の定める自筆証書遺言に形式が適合するかどうか遺言書保管官の外形的な確認が行われます。しかし、あくまで外形的なものなので、内容についてまでは触れられません。
 
自筆証書遺言書保管制度は、あくまでも遺言書を保管するだけの制度です。遺言の内容について相談することはできないので、注意しましょう。自筆証書遺言書が有効かどうか正式に知りたい場合は、弁護士や司法書士などのチェックを受けましょう。
 
このほか、通知制度があっても法定相続人の誰にも遺言書の存在を知らせず、死亡時通知の設定を行わなければ、亡くなったときに遺言書が保管されていることを知らせられません。法定相続人全員に自筆証書遺言書保管制度を利用していることを知らせるか、死亡時通知を設定しておきましょう。
 

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自筆証書遺言書保管制度を利用すれば遺族の負担を減らせる

自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、遺言書の紛失や亡失、破棄や隠匿改ざんなども防げます。また、遺族も遺言書を保管する負担を減らせ、相続が終わった後で遺言書が出てくるという事態も通知機能を使えば防げます。
 
一通につき3900円というお手頃な値段で、原本は50年、画像データは150年保管してくれるので、ぜひ前向きに利用を検討してみてはいかがでしょうか。
 

出典

法務省 自筆証書遺言書保管制度

政府広報オンライン 知っておきたい遺言書のこと 無効にならないための書き方、残し方

法務省法務局 自筆証書遺言書補完制度のご案内

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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