更新日: 2023.02.23 遺言書
遺言書を見つけたら開けて見てもいい? 開けるときの注意点とは?
しかし、それは法的にリスクの大きな行動であり、慎重に対処しなければなりません。
本記事では、見つけた遺言書を開封してよいのかどうか、開ける際に注意した方がよいポイントも解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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遺言書の開封に対するペナルティー
結論から述べると、遺言書を見つけた人が勝手に遺言書を開ける行為は厳禁です。
遺言書は単なる手紙ではなく、遺産の相続に関係する重要な文書です。悪意のある人物が開封した場合、中身を書き換えられる恐れがありますし、もしも書き換えられたら元の内容を確かめることは困難です。故人の意思が無視される形になりますし、相続争いに発展するリスクも生じます。
遺言書を勝手に開けることは、道徳的な観点だけでなく、法律でも禁じられています。違法と認定されると、民法第1005条により、5万円以下の罰金を支払わなければなりません。
悪意がなく、うっかり開けてしまった場合でも、すみやかに家庭裁判所に相談する必要があります。
発見したら検認を申請しよう
遺言書を開ける際は、家庭裁判所で「検認」を行うことが原則となっています。
検認とは、遺言書の書き換えや偽造などを防ぎ、内容の正当性を守るための手続きです。これには相続人に遺言書の存在や内容を伝えることも含まれます。なお、検認の必要性が記載されているのは民法第1004条です。
封印がある遺言書の開封は家庭裁判所で行い、相続人もしくは代理人が立ち合うことも定められています。その際、封を開けて内容を確認するのは裁判官の役割です。
そのため、遺言書を見つけた人が勝手に開封して見ると、検認のルールを完全に破ってしまうことになります。発見したら、家庭裁判所に検認を申請しましょう。
遺言書の検認には遺言書だけでなく、申立書や相続関係を示す戸籍謄本といった書類の準備も必要となります。
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検認が不要な遺言書もある!?
上記のように、原則的には遺言書に検認は不可欠ですが、例外とされている種類もあります。「公正証書遺言」と呼ばれるもので、作成者は依頼者から遺言の内容を伝えられた公証人です。
遺言書を作り終えると、公証役場に原本が保管され、依頼者にはその写しが渡されます。原本が公証役場に残っており、紛失や書き換え、偽造の恐れがないので、遺言書の写しも検認の必要はありません。
なお、平成元年(1989年)以降に作成された公正証書遺言は、遺言情報管理システムに遺言情報が登録されています。そのため依頼者が亡くなって遺言の効力が発生した後、家族など相続人は、依頼者が公正証書遺言を残しているかどうか、全国の公証役場に問い合わせることができます。
また、「自筆証書遺言書保管制度」を利用して法務局で保管されている自筆の遺言書も、検認は必要ありません。この制度では、相続人全員に遺言を法務局で保管していることが通知されるため、相続人は遺言書が存在していることを知ることができます。
遺言書を発見したら適切な対応を!
自宅で遺言書を発見したときは、気軽に開けてはいけません。相続をスムーズに開始するためにも、遺言書を開けるためには検認が必要であることをはじめ、遺言書に関するルールを正しく理解しておきましょう。
出典
e-Gov法令検索 明治二十九年法律第八十九号 民法
最高裁判所 遺言書の検認
法務省 自筆証書遺言書保管制度 自筆証書遺言書保管制度について
法務省 自筆証書遺言書保管制度 10 通知
日本公証人連合会 Q1.公正証書遺言とは、どのようなものですか?
日本公証人連合会 Q2.公正証書遺言には、どのようなメリットがありますか?
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部