亡くなった後に見つかったら大騒動? デジタル遺産はどう管理するべき?
配信日: 2023.03.19
デジタル遺産とは、デジタル形式の財産のことで、インターネット上でIDやパスワードを使用してログインを求められるケースが多いです。そのため、デジタル遺産を見落としてしまい、遺族に負担をかけるなどの大きなトラブルに発展する場合があります。
本記事では、デジタル遺産の内容や種類、管理方法について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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デジタル遺産とは?
デジタル遺産とは、その名のとおりデジタル形式で保管されている財産を意味します。一般的に、インターネット上でIDやパスワードなどの本人認証によって管理されているため、紙の証書や通帳といった財産を証明できるものがありません。
生前にデジタル遺産を整理しておけばよいのですが、相続開始後に発見した場合は、「デジタル遺産のログインIDやパスワードが分からない」「有料サービスを解約できない」といったトラブルに発生するリスクが高まります。
また、遺産分割の再協議、相続税申告から漏れて過少申告となる可能性が高い点にも注意が必要です。
デジタル遺産の種類と具体例
デジタル遺産といってもさまざまな種類があり、具体例は図表1のとおりです。
【図表1】
デジタル遺産の種類 | デジタル遺産の種類 |
---|---|
金融商品 | ・ネットバンクの預金データ ・ネット証券の投資信託や株取引のデータ ・暗号資産(仮想通貨) |
ポイントやマイル | ・クレジットカードなどで貯まったポイント ・航空会社のマイル |
電子マネーやスマホ決済サービス | ・電子マネー(交通系、流通系、クレジットカード系) ・QR・バーコード決済サービス |
その他 | ・通販サイトの未決済分 ・動画、音楽などのサブスクリプション契約 |
特に、動画、音楽などのサブスクリプション契約は、退会手続きを行わない限り利用料金が自動的に決済されます。死亡に伴うクレジットカードの利用停止や口座の凍結によって、支払いが止まる可能性は高いですが、それまでの間は不要な料金の支払いが発生することを認識しておきましょう。
デジタル遺品とは意味が異なる
デジタル遺品とは、デジタル遺産とは異なり、以下のような現金化ができないデータを意味します。
●電子メールやSNSなどのアカウントや、クラウド上に保存された画像や動画
●個人のパソコンやスマートフォンに保存された画像や動画
デジタル遺品の中には、個人情報などの重要な情報が登録されているケースが多いです。第三者に売却した際などに流出のトラブルをもたらす危険性が高いため、取り扱いに注意する必要があります。
今すぐできる! 死亡後に騒動にならないデジタル遺産の管理方法
デジタル遺産によって相続トラブルに発展するリスクを避けるためには、生前の適切な管理が重要です。今すぐできる管理方法は下記の2つです。
●デジタル遺産の詳細を親族に伝えておく
●目録やエンディングノートにデジタル遺産の詳細を記載しておく
方法別に内容を解説しますので、相続対策としてできることから早めに着手しておきましょう。
デジタル遺産の詳細を親族に伝えておく
デジタル遺産の詳細を生前に親族に伝えておくとよいでしょう。相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月間です。事前に相続財産を確認できれば、遺産分割協議をスムーズに進められますし、期限までに相続税申告を行えます。
相続手続き完了後にデジタル遺産が見つかった場合、遺産分割協議のやり直し、相続税の期限後申告や修正申告をしなくてはなりません。さらに無申告加算税、重加算税、延滞税、過少申告加算税といったペナルティーを課せられるため、注意が必要です。
目録やエンディングノートにデジタル遺産の詳細を記載しておく
親族にデジタル遺産の存在を明かしたくない場合は、目録やエンディングノートを作成しておくのも1つの方法です。デジタル遺産の種類や管理場所、ログインIDやパスワード、登録したメールアドレスや電話番号などの詳細をまとめておきましょう。
そのほかにも、パソコンやスマートフォンのロック解除に必要なパスワードやパスコードも記載しておくことが重要です。パソコンやスマートフォンを使用できなければ、デジタル遺産の情報を確認できても、データへのアクセスができません。
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終活の一環としてデジタル遺産の管理方法を検討しよう
インターネットやスマートフォンから財産を管理するケースが増えているため、生前に相続対策を行う必要があります。
終活を進める際には、
●自分が保有するデジタル遺産を確認して詳細を親族に伝えておく
●目録やエンディングノートを作成して詳細を記載する
といった対策をとっておきましょう。遺産分割協議をスムーズに進められるだけでなく、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月間以内と定められている相続税の申告を、漏れなく行えます。
出典
国税庁 相続税のあらまし
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部