更新日: 2023.04.12 贈与

【税制改正】教育資金贈与は「3年」、結婚・子育て資金は「2年」期限延長に

執筆者 : 新美昌也

【税制改正】教育資金贈与は「3年」、結婚・子育て資金は「2年」期限延長に
令和5年度税制改正を見ると、2023年末で廃止予定であった教育資金贈与は「3年」、結婚・子育て資金贈与は「2年」、期限が延長されます。両制度の内容をおさらいしましょう。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

教育資金の一括贈与にかかる贈与税非課税措置

教育資金の一括贈与にかかる贈与税非課税措置は、祖父母や両親などの直系尊属から30歳未満の子や孫(合計所得金額1000万円以下)名義の金融機関の口座等を経由して、教育資金を贈与した場合、1500万円まで非課税になる制度です。暦年贈与や相続時精算課税との併用ができます。
 
この制度を利用する場合、金融機関が領収書等をチェックし、書類を保管します。子や孫が30歳に達する日に口座等は終了し、終了時に使い残しがあれば、贈与税の課税対象です。
 
終了前に、贈与者が死亡したときに使い残しがあれば、原則、贈与者の相続財産に加算(孫・ひ孫は2割加算)されます。ただし、贈与者死亡の場合でも、受贈者が23歳未満や在学中の場合は相続税に持ち戻しをされません。対象となる教育資金は2種類あります。
 
1.学校教育法で定められた学校(幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専修学校および各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園または保育所など)に直接支払われるお金。
 
具体的には、(1)入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費、または入学(園)試験の検定料などや、(2)学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など、学校等における教育に伴って必要な費用などです。
 
2.学校等以外の者に対して直接支払われるお金のうち、教育を受けるために支払われるものとして、社会通念上相当と認められるもの。
 
具体的には、塾や予備校代、スポーツまたは文化芸術に関する活動、その他教養の向上のための活動に関する指導料・施設の使用料や、これらで使う物品の購入費、通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費など。
 
なお、こちらの上限は500万円です。また、受贈者が23歳以降に支払われるものについては、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用に限ります。
 

結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税非課税措置

祖父母や両親などの直系尊属から18歳以上50歳未満の子や孫(合計所得金額1000万円以下)名義の金融機関の口座等を経由して、結婚・子育て資金を贈与した場合、子・孫ごとに1000万円まで非課税になる制度です。
 
ただし、結婚関係で支払われるものについては、300万円までが非課税です。暦年贈与や相続時精算課税との併用ができます。
 
結婚・子育て資金には、「結婚に際して支払う費用」と、「妊娠、出産または育児に要する費用」があります。結婚に際して支払う費用には、挙式費用、衣装代等の婚礼費用、家賃、敷金等の新居費用、転居費用などがあります。
 
妊娠、出産または育児に要する費用には、(1)妊娠、出産および育児に要する不妊治療・妊婦健診に要する費用、(2)分べん費等・産後ケアに要する費用、(3)子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)などがあります。
 
この制度を利用する場合、金融機関が領収書等をチェックし、書類を保管します。子や孫が50歳に達する日に口座等は終了し、終了時に使い残しがあれば、贈与税の課税対象です。終了前に贈与者が死亡したときに、使い残しがあれば、贈与者の相続財産に加算(孫・ひ孫は2割加算)されます。
 

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その都度支払う教育費は非課税

「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度」「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度」を使わなくとも、教育費を非課税で一括贈与する方法があります。
 
祖父母、両親などの扶養義務者から「生活費」や「教育費」の贈与を受けた場合、その都度、通常必要と認められるものについては贈与税が課税されません。
 
ここでいう「生活費」とは、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、治療費、養育費その他子育てに関する費用などを含みます。
 
また、「教育費」とは、学費や教材費、文具費などをいいます。例えば、祖父母が孫の大学合格の際、入学手続き時納付金約200万円を大学に振り込んでも非課税ということです。
 
一方、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、使用されずに預金になっている場合や、株式・不動産などの買入資金に充てている場合には、贈与税がかかりますので留意しましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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