更新日: 2023.06.10 その他相続
実家のあちこちから「現金入りの封筒」が! 申告は必要?このままもらって大丈夫?
状況や金額によって異なりますが、実家から出てきた現金は贈与税や相続税の対象になることがあります。本記事では、実家で現金を見つけたときに必要な手続きや税金について見ていきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
1.贈与税の支払いが必要になる場合
親が存命であり、実家から出てきた現金を「あげる」と言われた場合でも、受け取る金額によって贈与税がかかることがあります。この場合、贈与税は1年間(1月1日~12月31日)に受け取った財産から、基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対して課税されます。
つまり、実家から出てきた現金と、その年に親からもらった財産との合計が110万円を超えるかどうかがポイントです。暦年課税の場合を想定すると、1年間に受け取った財産の合計が110万円以下の場合は贈与税がかからず、申告も必要ありません。
逆に、110万円を超える場合は、110万円を控除した残りの額に対して贈与税がかかります。贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に申告と納税を済ませましょう。
なお、期限までに申告・納税をしなかった場合、ペナルティとして付帯税の支払いが課せられます。付帯税とはもともと支払うべき税金にプラスして課税されるもので、「無申告加算税」「重加算税」「過少申告加算税」「延滞税」などがあります。
「現金を受け取るなら税務署にはバレないだろう」と思うかもしれませんが、実はそうではありません。税務署は独自のネットワークをもっており、不自然なお金の流れに敏感です。相続が発生するタイミングなどでバレてしまい、附帯税が高額になる場合もあるため、注意しましょう。
2.相続税の支払いが必要になる場合
親がすでに亡くなっている場合、実家から出てきた現金は相続税の課税対象となる場合があります。
ただし、財産を相続すれば必ず相続税がかかるわけではありません。相続税がかかるのは、相続した財産から借金や葬儀費用などを差し引いた額が「基礎控除額」を上回った場合だけです。なお、基礎控除の額は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で算出します。
相続開始日時点で被相続人が所有していた財産は、原則として、すべて相続財産になり、タンス預金や財布に入っている生活費などは「手元現金」とみなされます。手元現金があることを知りながら相続財産に計上しなかった場合は、脱税行為としてペナルティを課せられる可能性があるため、注意しましょう。
税務署は被相続人だけではなく相続人の口座を調査する権限をもっており、税務調査で脱税がバレる場合は少なくありません。相続税の脱税が税務署にバレると、追徴課税として付帯税を課せられ、税負担が大きくなる恐れがあります。
そのため、亡くなった親の家から現金が出てきた場合は、すぐに他の相続人に知らせて情報を共有しましょう。遺産相続トラブルを避けるために、金額は他の相続人と一緒に確認することが大切です。
その後、相続人全員で遺産分割協議をし、手元現金も含めた遺産をどう分割するかを決定しましょう。遺産の分け方が決まったら、「遺産分割協議書」を作成します。
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実家から見つかった現金が課税対象になる場合は、しっかり申告しよう
実家から出てきた現金を受け取る場合、親が存命ならば、基本的に年間110万円を超える贈与には贈与税がかかります。
一方、親が亡くなっている場合、実家から出てきた現金は、「手元現金」として相続財産に計上されます。どちらの場合でも、贈与税や相続税の課税対象となったら、しっかり申告・納税しましょう。
税務調査によって脱税を指摘されると、ペナルティとして付帯税が課せられます。贈与税や相続税の無申告は絶対に避けましょう。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
財務省 Q&A~身近な税について調べる~ 親が亡くなりました。遺産を相続する場合にどのような税金がかかるのですか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー