更新日: 2023.06.19 その他相続

家族が亡くなったときに行うべき手続きは? 手続き先や必要書類、期限など紹介

執筆者 : 中村将士

家族が亡くなったときに行うべき手続きは? 手続き先や必要書類、期限など紹介
家族が亡くなると、相続が発生します。相続が発生したときに行うべきことは、基本的には(1)死亡届を提出する (2)相続人を確定する (3)相続財産を確定する (4)準確定申告を行う (5)相続税の申告・納付を行う、です。
 
本記事では「相続の手続き」をテーマに、上記の手続きについて手続き先や必要書類、期限などを紹介します。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

死亡届を提出する

家族が亡くなった場合はまず、「死亡届」を提出しなければなりません。提出期限は、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡したときは3ヶ月以内)です。
 
死亡した方の親族や同居人などが、手続きを行います。死亡届を作成したら、死亡診断書または死体検案書を添付のうえ、亡くなった方の死亡地・本籍地または届出人の所在地の市区町村役場に提出します。
 
また、亡くなった方が年金受給権者であった場合、10日以内(国民年金は14日以内)に「受給権者死亡届(報告書)」を、年金事務所または年金相談センターへ提出しなければなりません。このとき、亡くなった方の年金証書や死亡を証明する書類(戸籍抄本など)を添付する必要があります。ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合、これらの手続きは不要となります。
 

相続人を確定する

相続人を確定するために、まずは相続人を特定していかなければなりません。遺言書があればそれに従いますが、そうでない場合は、戸籍などから相続人を特定していきます。
 
相続人となった方は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に、相続について「単純承認をする」「限定承認をする」「放棄をする」を選択する必要があります。
 
単純承認をする場合、特に手続きは必要ありません。しかし、限定承認をする場合または放棄をする場合は、家庭裁判所に申述(申告)しなければなりません。また、限定承認をする場合は、相続人全員で申述する必要があります。
 

【PR】相続する土地・マンションがあなたの生活を助けるかも?

相続財産を確定する

次に、相続財産を確定する必要があります。これには相続財産の内容のほか、「誰が何を相続するのか」も含みます。
 
まずは相続財産(金融資産や不動産など)を把握します。それから、誰が何を相続するのかを決めます。このとき、遺言があればそれに従いますが、そうでない場合は相続人同士で協議をする必要があります(遺産分割協議)。
 
相続財産が確定したら、遺言書または遺産分割協議書に従い、相続財産の名義変更を行っていきます。銀行口座の名義変更には、特に期限はありません。
 
不動産の名義変更については、2024年4月1日以降、相続登記(相続による名義変更の登記)の申請が義務化され、「相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内」または「遺産分割協議が成立した日から3年以内」に、登記申請をしなければなりません。
 

準確定申告を行う

亡くなった方の所得税については、確定申告を行う必要があります。これを「準確定申告」といいます。準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に行う必要があります。
 
準確定申告は、「準確定申告書」に「準確定申告書の付表」を添付して、亡くなった方の死亡当時の納税地の税務署長(所轄税務署)に提出します。
 

相続税の申告・納付を行う

相続財産の額(評価額)によっては、相続税の申告・納付を行わなければならない場合があります。この場合、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、相続税の申告・納付をしなければなりません。
 
相続税の申告は、原則として、「相続税の申告書」に「本人確認書類」「相続人の分かる戸籍謄本など」「遺言書(または遺産分割協議書)」を添付して、亡くなった方の死亡当時の納税地の税務署長(所轄税務署)に提出します。
 

まとめ

本記事では、「相続の手続き」をテーマに、主な手続きを取り上げ、手続き先、必要書類、期限などを紹介しました。ポイントをまとめると、図表1のとおりです。なお、分かりやすさを優先するため、詳細の文言については省略しております。
 
図表1

内容 手続き先 期限
死亡届の提出 市区町村 7日以内
受給権者死亡届の提出 年金事務所
年金相談センター
10日以内
(国民年金は14日以内)
相続の限定承認または放棄 家庭裁判所 3ヶ月以内
不動産の名義変更 法務局 3年以内
(2024年4月1日以降)
準確定申告 所轄税務署 4ヶ月以内
相続税の申告・納付 所轄税務署 10ヶ月以内

※筆者作成
 
家族が亡くなると、別れを惜しむ間もなく、さまざまな手続きをしなければなりません。相続は、いつかは発生します。前もって手続きの内容を把握しておいたり、ご家族で相続について話し合ったりしておくことで、そのときになって慌てるような事態を避けることができるのではないでしょうか。
 

出典

法務省 死亡届
日本年金機構 Q 年金受給者が亡くなりました。何か手続きは必要ですか。
裁判所 相続の限定承認の申述
裁判所 相続の放棄の申述
宇都宮地方法務局 知っていますか?相続登記の申請義務化について
国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
国税庁 [手続名]相続税の申告手続
国税庁 (参考)相続税の申告の際に提出していただく主な書類
国税庁 相続税の申告
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

ライターさん募集