更新日: 2023.07.07 相続税
孫のために「500万円」を貯金! 非課税のつもりだったのに「相続税」の対象になる可能性があるって本当?
しかし、その貯金は課税対象になる可能性が高い点に注意しなければなりません。その理由について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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相続税の対象になる相続財産とは
相続財産とは、死亡した人が死亡時点で所有していた財産(借金などのマイナス財産を含む)のすべてをいいます。具体的には、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋、貸付金、特許権、著作権など経済的価値のあるすべてのものです。
ちなみに、相続財産のことを「遺産」と呼ぶ場合もありますが意味に違いはありません。
孫名義の預金は相続財産なのか
相続財産の定義を見ると、孫のために貯めていたお金は孫の財産であるので、相続財産にはならない気がするでしょう。口座名義を孫にしていた場合には、なおさらそう思う人も多いでしょう。
しかし、実際は相続財産になる可能性が高いので注意しなければなりません。
なぜなら、孫のための預金であっても、孫が自由に使えるお金ではなく、祖父母が管理しているのであれば、実質的には祖父母の財産であると考えられるからです。これを「名義預金」といいます。
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名義預金の判定フロー
「孫のために貯めているお金=名義預金」というわけではありません。以下のような判定フローに従って判断できます。
預金の財源が死亡した人
「その預金が誰のお金から貯められたのか」でまず判断します。祖父母のお金を財源として貯められた預金であれば、それだけで名義預金になる可能性が高いです。
預金を管理していたのは死亡した人
孫のためにお金を貯める理由としては、将来の教育費用、結婚費用、子育て費用などが一般的でしょう。来たるその時まで、通帳や印鑑は祖父母が所有し管理している場合が多いです。この場合には、実質的には祖父母の預金であるとして名義預金になるでしょう。
孫が預金の存在を知らない
来たるその時に預金を渡そうと考えている場合、祖父母は孫や子どもに知らせずに貯めている場合があります。財産所有者であるはずの孫本人が預金の存在を知らないという状況は、祖父母の預金であるのと同じですから、名義預金になる可能性が高いでしょう。
孫や子どもに贈与を受けた自覚がない
祖父母と孫の間で贈与の認識があれば相続財産にはならず、贈与時点での贈与税の話になります。暦年贈与における贈与税は年間110万円以下の贈与であれば非課税であることから、500万円を5年に分けて贈与していたのであれば、相続財産にはならず贈与税もかからないということになります。
ただし、贈与契約書や贈与税申告書が証拠資料になるため、税務調査が入った時点で「贈与だった」と言っても通用しないでしょう。贈与でないのであれば、代わりに名義預金として相続税が課される流れです。
まとめ
孫のために貯めた預金を所有したまま死亡した場合、その預金は死亡した人の財産として相続財産になる可能性が高いです。国は今、高齢者が所有している財産を、消費が盛んな若年者世代へ移転させることに躍起になっています。
多額の預金を孫に贈与しても非課税になる制度が多く設けられているので、生前に積極的に利用することをおすすめします。
出典
国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー