更新日: 2023.07.29 贈与
孫の教育資金として「600万円」を貯めました。「一括・分割」どちらで渡すのが節税になりますでしょうか?
本記事では、一括・分割のどちらかで渡した場合の試算例を入れて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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教育資金はいくらかかる?
文部科学省が2022年に発表した「令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します」によると、幼稚園から高校まで、年間での学習費総額は図表1のようになりました(図表1)。
【図表1】
幼稚園 | 小学校 | 中学校 | 高校(全日制) | |
---|---|---|---|---|
公立学校 | 16万5126円 | 35万2566円 | 53万8799円 | 51万2971円 |
私立学校 | 30万8909円 | 166万6949円 | 143万6353円 | 105万4444円 |
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査の結果を公表しますを基に作成
上記の表の金額には、学校教育費・給食費・学校外活動費が含まれています。公立・私立高校の学費には国から就学支援金が支給されているため、中学校と比べて低くなっています(就学支援金を受け取るには、家庭の所得制限あり)。
国立大学の入学金と授業料は文部科学省が定めた標準額によって各大学が決めており、国立大学入学生の標準額は入学金28万2000円、年間授業料53万5800円です。
私立大学は標準額が決められていないため、それぞれの大学によって学費が大きく異なります。文部科学省の調査によると2019年度の初年度納付金の平均額は入学金24万8813円、授業料91万1716円、施設設備費18万194円で合計134万723円でした。
教育資金を一括・分割で渡す場合の試算例
教育資金としてためた600万円を渡す場合、渡す方法と孫の年齢によって課税額がいくらになるのか試算します。お金を受け取る孫が成人年齢18歳になっているかどうかで、贈与税率が異なります。
未成年では一般税率、18歳以上では特例贈与税率が適用されます。
(1)通常の贈与で渡す場合(孫が18歳以下の未成年)
(600万円-贈与税基礎控除110万円)×一般税率30%-一般贈与控除65万円=課税見込み額82万円
(贈与する対象の孫が成人している場合は特例税率20%、控除30万円が適用されて課税見込み額68万円)
(2)教育資金としての贈与非課税措置を使って渡す場合
1500万円まで課税額0円(金融機関・税務署への手続きが必要です)
(1)200万円または300万円ずつに分割して渡す場合
・(200万円-贈与税基礎控除110万円)×一般税率10%=課税見込み額9万円
(孫が成人している場合も見込み額9万円)
・(300万円-贈与税基礎控除110万円)×一般税率15%-一般贈与控除10万円=課税見込み額19万円
(孫が成人している場合も見込み額19万円)
(2)100万円ずつに分割して渡す場合(孫の年齢にかかわらず)
贈与税の基礎控除110万円以下なので課税額は0円です。しかし、あらかじめ毎年贈与すると約束して生前贈与を行った場合は、贈与税が加算されます。
このように、一括・分割で渡す場合と利用できる特例措置などによって課税額が変わってきます。
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ためたお金を孫に渡すときの注意点は?
注意点としては、贈与をする人が亡くなって相続などが発生した場合に、贈与を受けた孫が受け取った財産に相続税が課税されてしまう可能性が出てくることです。この制度は生前贈与加算と呼ばれ、2024年1月1日からは、亡くなった年から7年前までの贈与が対象になります。
教育資金の贈与非課税措置や、年110万円以下の贈与で贈与税非課税になっていても生前贈与加算の対象となるので、贈与する側(がわ)、あるいは贈与された側(がわ)で契約書や金額の入出金記録類を残しておくのもよいでしょう。
まとめ
子供の学費のほかに生活費など保護者の金銭負担は大きく、祖父母からの金銭的支援はありがたいことです。
いつ、どのくらいの金額を贈与すればよいのか、家族などと相談して計画的に贈与するとよいでしょう。
出典
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します
京都大学 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
文部科学省 私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 令和5年度 相続税および贈与税の税制改正のあらまし
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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