更新日: 2023.07.28 その他相続

空き家の維持にかかる費用は年間でいくら? 節約する方法はあるの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

空き家の維持にかかる費用は年間でいくら? 節約する方法はあるの?
現在、日本では土地と建物を相続したものの、誰も住む人がいなくて空き家のままにしているなどのケースが増えています。居住していなくても、空き家には維持費用がかかります。実際、維持費が家計の負担になっているご家庭も多いでしょう。
 
そこで本記事では、空き家の維持にかかる費用は年間いくらくらいなのか、維持費を節約する方法とあわせてご紹介します。
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空き家の維持には年間どれくらいの費用がかかる?

空き家は、所有している人にとって財産になりますが、一方で維持費がかかる点が悩ましいところです。人が住んでいないといっても、思いのほか多額の費用がかかります。空き家にかかる維持費には次のようなものがあります。
 

●固定資産税
●都市計画税
●水道光熱費
●火災保険料
●修繕費用
●メンテナンス費用

 
空き家の規模や地域、状態などによって費用は変動しますが、税金や光熱費、保険料だけでも年間にするとおよそ20万円はかかります。このほか空き家の管理費などを含めると、さらに費用がかかるでしょう。それぞれの費用についてご紹介します。
 

固定資産税

固定資産税とは、その年の1月1日時点で土地や建物を所有している人が市町村に納める税金です。3年に1度、土地や建物の評価の見直しが行われ、算出した課税標準額に税率1.4%を掛けた額を支払います。土地に建物がある空き家では住宅用地特例の適用となり、200平方メートル以下の土地の場合、課税標準額が6分の1に軽減されます。
 
例えば200平方メートル以下の土地の評価額が1200万円、建物の評価額が500万円の場合の固定資産税は次のとおりです。
 

1200万×1/6×1.4%=2万8000円
500万×1.4%=7万円

 
合計した9万8000円が、年間にかかる固定資産税です。
 

都市計画税

所有している空き家が市町村などの自治体が定める都市計画区域内にある場合、都市計画税が課されます。土地や建物に対する評価に基づいて算出された課税標準額に、原則として税率0.3%を掛けた額を納めます。税率は市町村によって異なる場合があります。
 
都市計画税は、固定資産税と同様に土地に対して住宅用地特例が適用され、200平方メートル以下の土地では、課税標準額は3分の1になります。
 
200平方メートル以下の土地の評価額が1200万円、建物の評価額が500万円の場合の都市計画税は次のとおりです。
 

1200万×1/3×0.3%=1万2000円
500万×0.3%=1万5000円

 
合計した2万7000円が、年間にかかる都市計画税です。
 

水道光熱費

人が住んでいない空き家でも、定期的に手入れを行うためには水道や電気が必要です。使う頻度や量が少ない場合でも、水道光熱費の基本料金は維持費としてかかるでしょう。
 
空き家が東京23区にある場合、1ヶ月の基本料金は水道(13ミリメートル)が860円です。電気は、東京電力で50アンペア契約の場合1476円です。年間にすると、水道光熱費の合計は約2万8000円になります。
 

火災保険料

空き家は人が居住していない分、火災のリスクが高いといえます。漏電や近所からのもらい火、放火などさまざまな可能性があるため、火災保険に入っておいたほうが安心できるでしょう。保険会社や契約内容によって異なりますが、年間3~5万円ほどかかります。
 
また、保険会社によっては空き家は火災保険の対象外となることもあります。
 

修繕費用

空き家の老朽化が進むと、屋根や壁、床などさまざまな部分が傷んできて、修繕が必要になります。大きな修繕を行う場合には数百万の費用がかかる場合もあるため、注意したいところです。
 

メンテナンス費用

空き家には定期的なメンテナンスが必要です。誰も住んでいないからといって、長期間放置していると、草木が隣家の敷地に達するほど伸びることがあります。また、豪雪地帯にある空き家では、雪の重みで建物が倒壊する危険もあります。
 
近隣トラブルを避けるためにも、定期的に草木の剪定(せんてい)や除雪をしておくのがよいでしょう。業者に依頼した場合は、年間数万~数十万の費用がかかります。
 

空き家の維持費を節約する方法

空き家を所有していると、税金や保険料などの維持費は欠かせません。また、定期的にメンテナンスを行っていない空き家は、周辺環境に悪影響を及ぼしたり、倒壊したりといったリスクが高まります。管理がきちんとなされていない空き家は、自治体から特定空き家に指定される場合があります。
 
特定空き家に指定されると、固定資産税や都市計画税の住宅用地特例の優遇が受けられなくなるため税金が高くなり、結果的に維持費がより増加します。空き家の維持費を節約するために、別の活用方法を検討するのもよいでしょう。具体的には次のような方法があります。
 

●賃貸に出す
●売却する
●解体する

 
以下で、それぞれについて詳しく紹介します。
 

賃貸に出す

住む予定がなくても、空き家を資産として保有しておきたい場合は、賃貸に出すのもよいでしょう。人が住めるようにリノベーションなどをする必要がありますが、毎月の家賃収入が見込めます。家賃収入があれば、毎年かかる維持費も賄えるメリットがあります。
 
賃貸物件として活用するためには、入居者の募集や家賃の設定、契約書の作成など、専門的な知識や労力が必要です。不動産業者などに相談して仲介してもらいましょう。
 

売却する

毎年かかる空き家の管理維持費が負担になる場合は、売却も視野に入れるのもよいでしょう。2016年4月に施行された国土交通省の「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」では、空き家を相続した場合、リフォームなどで定められた耐震基準などの条件を満たせば、譲渡所得の金額から3000万円が控除されます。
 
自治体が運営する空き家バンクなどに登録して売却するのもよいでしょう。
 

解体する

古い空き家を長い間放置していると状態が悪くなり、近隣トラブルや倒壊の危険が増します。遠方に空き家があるなど、定期的な管理やメンテナンスができない場合は、建物を解体してさら地にしてしまうのもひとつの方法です。
 
ただし、さら地にするためには解体費用がかかるのがデメリットといえます。空き家の構造や広さによって解体費用は異なりますが、100万~300万円ほどかかります。地方自治体によっては、条件を満たせば補助金が出るところがあるので、これらの制度を活用するのもよいでしょう。
 

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空き家を有効に活用して維持費を節約しよう!

空き家を所有していると、税金や保険料、光熱費などの維持費が多くかかります。建物が古くなるにつれて、管理費なども増加していくでしょう。空き家の維持費を節約するためには、そのまま放置せずに有効活用するのがベストだといえます。自治体や不動産業者などに相談して、空き家を活用しましょう。
 

出典

総務省 固定資産税

総務省 都市計画税

東京都水道局 手続き・料金 水道料金・下水道料金の計算方法(23区)

国土交通省 空き家の発生を抑制するための特例措置

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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