100万円以上の「タンス預金」は危険? どのくらいなら大丈夫? リスクについても解説
配信日: 2023.08.08
FP2級
1人あたりのタンス預金は平均約99万円
日本銀行の調査によれば、2023年第1四半期における家計の現金保有額は約106兆8530億円でした。一方、総務省の調査によると、2023年1月1日時点における日本の年少人口(0~14歳)を除いた人数は、約1億795万人とのことです。
家計の現金保有額約106兆8530億円を、単純に年少人口を除いた約1億795万人で割ると、約99万円の現金を保有している計算になります。
ただ100万円近いタンス預金を保有している人は、実際にはもっと少ないといえるでしょう。一部の富裕層が大金を自宅の金庫などに保有しており、平均を押し上げていると推測されます。
例えば10人中9人のタンス預金額が1万円だとして、残り1人だけ50万円だったとしたら平均額は以下のとおりです。
(9人×1万円+1人×50万円)÷10=5万9000円
9人の平均値(1万円)と比べると、かなり差があります。このように一部の富裕層によって、タンス預金の平均額が、押し上げられてしまっている可能性があるのです。
高額なタンス預金は税務調査で指摘される可能性がある
一部の富裕層が平均額を押し上げているにしろ、年少人口を除いた日本人1人あたりで平均して約99万円ものタンス預金がある事実は変わりません。仮に100万近い高額なタンス預金がある場合、税務調査で「未申告の高額な財産を隠しているのではないか」と疑われる可能性があります。
もちろん相続税申告の際に、タンス預金も含めてきちんと申告していれば問題ありません。しかし支払う相続税を少なくしたくて、「バレないだろう」とタンス預金の存在を隠してしまうと、あとで税務調査によりバレる可能性が高いのです。
税務署は納税者の申告情報などを集積した専用システムで、国民の収入や財産の額を把握できます。そのため、相続税申告の際に申告された遺産の額があまりに少なければ「疑わしい」と判断できるわけです。
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タンス預金はどのくらいあればよい?
銀行に預けるのと比べ、タンス預金は「すぐに使えて便利」などのメリットがあるのは事実です。
それでは、タンス預金はどのくらいあればよいのでしょうか。どういった理由でタンス預金をしているかは人それぞれかと思いますが、ここでは一例をあげて考えてみましょう。
総務省の調査(2022年分)によると、2人以上の勤労者世帯が1ヶ月で使う平均的な支出額は約32万円だったとのことです。
そのため、タンス預金にこのぐらいあれば、万一、銀行からお金を引き出せなくても1ヶ月は無事に過ごせるといえます。参考までに同じ調査で1人暮らし(勤労者世帯)の支出額は平均約19万4000円/月なので、2人以上の勤労者世帯に比べかなり少なくすみます。
まとめ
あまり高額なお金を自宅に保管していると、火災や盗難などのリスクがあるだけでなく、相続時に税務調査で疑われてしまう可能性があります。本記事をきっかけに、一度、本当にどのくらいの金額を自宅に保管しておく必要があるか見直してみてはいかがでしょうか。
出典
総務省統計局 家計調査報告 ―月・四半期・年―
日本銀行 資金循環統計(速報)(2023年第1四半期)及び遡及改定について
総務省 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント(令和5年1月1日現在)
執筆者:小泉健太郎
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