遺産を巡った争いは避けたい… 遺言を残したほうが良いのは、どんな時?

配信日: 2023.08.11

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遺産を巡った争いは避けたい… 遺言を残したほうが良いのは、どんな時?
遺言はエンディングノートとは異なり、法的に効力があり、そのためには必要な要件がありますが、作成することについて義務ではありません。
 
しかし、状況によっては遺言を残しておいたほうが良いということもあります。それは、どのような時でしょうか?
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

遺言を残したほうが良い時とは?

遺言を残したほうが良いケースというのは、自身の死後に遺産を巡って争いが生じる可能性がある場合です。
 
「遺産争いを防ぎたい」「特定の人に確実に遺産を渡したい」という2つのケースについて、具体的に見ていきましょう。
 

遺産争いを防ぎたい

■子どものいない夫婦

すでに両親が他界している、子どもがいない夫婦を想定してみましょう。仮に夫が亡くなった場合、妻の法定相続分は4分の3ですが、残りは夫の兄弟姉妹で分け合うことになります(両親が存命の場合は法定相続分が異なります)。
 
もし、自身の遺産を長年連れ添った妻に相続させたい場合には、その旨を書いた遺言を残すべきです。特に兄弟姉妹には遺留分がないので、夫が残した遺産は確実に妻に相続されることでしょう。
 

■再婚歴があり、相続人が先妻の子と後妻の場合

先妻の子と後妻との間には血のつながりがないので、その分争いが生じやすいと想定されます。例えば、先妻との間の子どもが1人で、後妻との間に子どもがいない場合、自身が残した遺産を半分ずつに分ければそれで済むかもしれません。
 
しかし、自宅の相続はどうなるのでしょうか。先妻との間の子どもが別の家に住み、後妻は自身の家に住んでいたとします。その場合、先妻との間の子どもが「自宅を売って得た現金を半分ずつに分けてほしい」等と主張するかもしれません。後妻は自身と共に、長年暮らした家を失う可能性が出てきます。
 
そうしたことがないように、遺言で自身の遺産(この場合は自宅)を、死後にどのように分けるのか明記しておくのもよいでしょう。
 

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特定の人に確実に遺産を渡したい

■未入籍のパートナー

長年苦楽を共にしてきたパートナーも、未入籍の場合には相続する権利はありません。未入籍のパートナーに確実に遺産を渡したい場合には、やはり遺言を残したほうがよいでしょう。
 

■法定相続人(法律で定められた相続人)はいないけれど……

法定相続人がいない方の場合、遺産は「国庫に帰属する」といって、国のものになってしまいます。相続人がいない方は、「法定相続人ではないが、遺産を渡したい」と思えるような人がいないか考えてみましょう。
 
仕事やプライベートで時間を共に過ごした方や、お世話になった方、逆にお世話をした方など、遺産を渡しても良いと思える人がいるかもしれません。もし、思い当たる人がいて、その人に遺産を渡したいと思った場合は、その旨の遺言を残したほうがよいでしょう。
 
あるいは、慈善団体や社会福祉の団体等に「自身の遺産を役立ててほしい」という気持ちがあれば、その旨を遺言に残しておくということもできます。
 

■法定相続人ではないが、世話になった親族に遺産を渡したい

例えば、「子どものお嫁さんに世話になったので、子どものお嫁さんに遺産を渡したい」「めいっ子に遺産を渡したい」など、親族ではあるものの法定相続人ではない方に遺産を残したいという方もいらっしゃるでしょう。
 
亡くなった人のお世話をした方については「特別の寄与」という制度を利用できます。しかし、これはお世話をした方が、被相続人の死後、相続人に対して請求しなくてはなりませんし、相続人が応じてくれなければ、家庭裁判所で手続きを行うことになります。
 
「子どものお嫁さん」や「姪っ子」に遺産を渡す旨を遺言に書いておけば、請求や家庭裁判所の手続き等を経なくても遺産を渡すことができるのです。
 
以上、遺言を残したほうが良いケースをご紹介しました。自分の遺産は誰に渡したいのかを考え、場合によっては遺言を残すことを検討しましょう。
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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