更新日: 2023.08.15 贈与

相続税対策で「毎年110万円」を定期的に振り込み! 非課税のはずが「贈与税」を請求される!? 生前贈与の注意点を解説

相続税対策で「毎年110万円」を定期的に振り込み! 非課税のはずが「贈与税」を請求される!? 生前贈与の注意点を解説
子どもへの生前贈与は相続税対策に役立ちますが、なるべく手間はかけたくないものですね。そこで「子ども名義の通帳」を作り、非課税限度額の「110万円」を「毎年同じ時期」に預け入れ、後で通帳ごと贈ろうと考える人もいるでしょう。
 
しかし、生前贈与は渡し方に気を付けないと、後から贈与税を請求されるケースもあるのです。本記事では、その注意点について説明します。
FINANCIAL FIELD編集部

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生前贈与のメリット

生前贈与のメリットは、相手や金額を自分で決められて、贈与を見届けられることです。死後の財産は、正式な遺言書がある場合を除いて法律で決められた人に相続されるため、自分の納得する贈与を望む場合は、生前贈与を活用するのがよいでしょう。
 
さらに、生前贈与は受け取る人にとっても相続税や贈与税の節税につながるので、大事な財産を大切な人に最大限渡すためにも役立ちます。
 

「110万円以内」でも贈与税がかかる? 間違った生前贈与のやり方

生前贈与に年間110万円の基礎控除があることを知っている人は多いですが、実は金額以外にも気を付けないと贈与税を請求されてしまう場合があるので確認しましょう。
 

子どもの通帳を預かって管理するのはNG!「名義預金」に注意

子ども名義の通帳・カードを作り、親が年間110万円以下の入金を管理すれば効率的だと思うかもしれません。ただし、これでは子ども名義にしただけの親の預金口座「名義預金」と判断され、生前贈与に当てはまりません。
 
長年の生前贈与対策がムダにならないようにするには、子どもが実際に管理し、使っている預金口座に贈与(入金)することがポイントです。
 

「駆け込み生前贈与」は2024年からにさらに厳しくなる

2023年度の税制改正により、「駆け込み生前贈与」はこれから相続税の対象になるリスクが高まってきます。現在は相続が始まる前3年以内の贈与が相続税の対象ですが、2024年1月1日以降はその期間が7年に延長されるからです。
 
生前贈与はなるべく早く、計画的に始めて非課税のメリットをしっかり受けましょう。
 

毎年決まった金額を定期的に渡していると贈与税がかかる?

「110万円を毎年同じ時期に子どもへ」といったように、毎年決まった時期に同じ金額の贈与を繰り返すと、「定期贈与」と判断されることがあります。贈与税の節税を狙うなら、この点には注意しましょう。財産を渡す人、受け取る人の間で毎年一定額の贈与を約束する「定期贈与」は、贈与したお金の合計額が課税の対象となります。
 
例えば毎年100万円ずつを10年かけて渡すなら、贈与を約束した年に合計1000万円に対する贈与税がかかることになります。30歳の子どもが受け取るケースなら、贈与税の税率が30%で90万円の控除を含めても(1000万円-110万円)×0.3-90万円=177万円もの贈与税がかかる計算です。
 
対策としては、毎年「違う金額」を「違う時期」に贈与することです。同じ額や同じ時期の贈与を続けると「最初から約束された贈与額を毎年分けて贈与しているだけ」の定期贈与と見なされる可能性があるので、例えば1年目は1月に110万円、2年目は4月と10月に分けて合計90万円などと渡し方を工夫してみるといいですね。
 
せっかく節税対策したつもりが、生前贈与の落とし穴に気付かず「贈与税を請求されてしまった」となる前に、ポイントはしっかり押さえておきましょう。
 

出典

財務省 令和5年度税制改正の大綱
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税不服審判所 公表裁決事例等の紹介(平成28年11月8日裁決)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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